受験に必要ない科目の勉強は、する必要がないと判断してしまう人もいます。たとえば、「自分の志望校には英語の発音問題はないから、やる必要はない」などと思ってしまうのです。そして、それには一切関心を持たない場合も多いです。もちろん、志望校の入試問題の出題傾向を知ることは受験勉強をするにあたって有意義です。志望校の出題傾向はなるべく早く知って、それに合わせた勉強をしていく必要があります。それに、効率的に勉強をしていくうえでは、出題傾向のような情報も仕入れたほうがいいですね。でも、それによる科目の切り捨てには慎重になる必要があります。何故なら、入試問題の出題傾向というものは、その年によって違ってくるためです。もしその大学の出題グループが変更されれば、出題傾向も大きく変化します。 だから、今まではこの種の問題が出なかったから、絶対に今年もそれが出ないかどうかは分かりません。もしかすると、今年からは出るということもあり得ます。実は、急に出題傾向が変わったために泣きを見たという受験生は大勢います。 また、試験には出ない問題であっても、その分野を勉強しないと全体的な勉強の理解に差し障りがある場合もあります。たとえば、英単語の発音が試験に出ないからといって単語の発音をまったく知らずにいると、単語を暗記するのに差し障りが出てきます。多くの場合は、発音も一緒に覚えることで英単語が頭に入るのですね。 これは、英作文の場合にも関係してきます。英語の構文を頭に入れたければ、英作文を作れたほうが良いです。大学入試に英作文が出ないからとまったくそれを勉強しなかったら、他の分野でも点数が取れなくなります。つまり、英作文が全然作れないのに長文の理解がよくできるということはあり得ないでしょう。これと同じようなことが他の科目にもあります。 実は、選択科目についてもあまり早くから決めないほうが良いのです。たとえば、慶應大学に行きたいと志望しているとします。実は、慶應大学には国語の入試問題がありません。だからといって、高校1年生の頃からまったく国語の勉強をしない人もいます。或いは、現代文が苦手なため、慶應大学に進もうと考える人もいるようです。 しかし、これは危険なことと考えていいでしょう。何故なら、もしかすると慶應大学を受けずに他の大学を受けなくてはならない場合があるからです。成績がもっと伸びてもっと上の大学を目指すことになることもあります。或いは、成績が伸びない時にも他の大学を受ける必要が出てくるでしょう。 それに、慶應大学文学部を受けたいなら、入試科目には小論文があります。もし小論文を書くなら、現代文で習った知識や考え方が関係してきます。おそらく、現代文をよく勉強した人のほうが、勉強をしていない人よりもずっと優れた小論文を書ける場合が多いでしょう。現代文の勉強を怠ると上手な小論文を書くことも難しくなります。 できれば、高校2年生ぐらいには小論文を少し勉強しておきましょう。自分で文章を書くことにより、社会的な基礎知識が身に付いたり英語の点数が上がるなどのメリットも付いてきます。それに、小論文に関心を持つと狙える大学もとても増えます。だから、とても得なのです。 できれば、高校2年生の後半から3年生初めぐらいまでには、志望校をはっきりと決めましょう。それから選択科目を定めるのです。それまでは、志望校の入試科目や出題傾向はあまり気にせずに様々な勉強をしていきましょう。それは、分野を限定しないほうが基礎的な学力が身に付くからです。 志望校に合わせた勉強を本格的に始めるのは、高校3年生になってからで良いでしょう。