附属校はなぜ人気になる?首都圏の中学受験で人気になる学校として挙げられるのが、有名私立大の「附属校」です。早大、慶大、明大といった受験者も多い有名私立大のほとんどが附属校(正確には「系属校」「準附属」などの分類もありますが、ここでは「附属校」で統一します)と呼ばれる中学を持っていますが、大学同様中学受験でも多くの受験生を集めています。その理由は、何といっても「エスカレーター」と呼ばれる系列大への内部進学が可能な点にあります(ちなみに、東京大や筑波大、東京学芸大などの国立大附属中は内部進学枠がないのでご注意ください)。学校内で一定の条件をクリアすれば学力試験なしに有名私立大に入れる権利を得られるというのは非常に大きいものがあります。中学に合格しさえすれば、高校受験どころか大学受験もなくなるわけですから、子どもは受験勉強から解放されたカリキュラムのもと、中高の6年間をのびのび過ごすことができるようになります。一方親にとっても、子どもの学歴をある程度確定させることができる上、大学受験の予備校に通わせる必要もなくなります。また、親の出身大学の附属校であれば、子どもを自分と同じ大学のブランドで育てることができるのもメリットです。私立大まで通わせる学費が必要なことを除けば、附属校は子ども・親双方にとってメリットが多い存在なのです。  附属校にもタイプがあるさて、この附属校ですが、当然ながら系列大の入学難易度に比例して入りやすさが変わります。「統一合判」の偏差値一覧表(平成25年7月現在)によれば、偏差値70以上とされるのは早稲田実業、早稲田、慶應中等部、慶應普通部、慶應湘南藤沢で、全て早大・慶大系列です。その下の偏差値60台には早稲田高等学院(男子校)のほかフェリス、白百合学園、明大明治、青山学院、立教女学院、学習院、中央大附、法政大中など、「GMARCH」の附属中や有名女子大の附属中が並びます。こうした「早慶」「GMARCH」や有名女子大の附属校は卒業生のほとんどが系列大に進学するのが特徴です。中学・高校のカリキュラムも当然のように系列大への進学を前提として組まれ、大学との連携も強化されています。一方、それ以外の大学の附属校では事情が変わってきます。具体的には、系列大への進学者数より他大学への進学者のほうが多くなるのです。こうした附属校は、系列大への入学権を持ったまま国公立大を受験することができる制度を設けるなど、他大学への進学実績を高める工夫を行っています。このため、附属校のメリットであるエスカレーター進学の利点をうまく残しつつも、実質的には他大学への進学校という傾向が強くなっています。  附属校選びは、大学受験まで考えて!このように、附属校はどの大学の系列かによって高校卒業後の進路が大きく左右されます。子どもを国公立大へ進学させたい場合は、附属校でない私立の進学校や他大学への進学実績が高い附属校のほうが適しているといえますし、子どもが希望する職種によっては系列大に対応する学部・学科がないということもありえます。附属校を選ぶ際は、大学、あるいはその先の進路まで見通した選択が必要といえます。