「とりあえず理系」後悔することも生徒のほとんどが大学受験をする進学校の場合、高校1年生の間に文理選択をさせることが多くみられます。その中でよく見られるのが、「別に特別理科や数学が好きなわけでもないけど、とりあえず就職に有利だと言われたから理系にする」という選択のしかたです。これは、理系のほうが大学・大学院でより専門的スキルを身につけられる、という考えが広まっていることの表れともいえます。理系離れが問題視される日本の現状を考えれば歓迎すべき状況なのかもしれませんが、ことはそう簡単にはいきません。こうした『消極的』な理系選択は後で大変なことになりかねないのです。  高校在学中の問題まず、高校の間に出くわす問題が「数学・理科が難しくてついていけない」という悩みです。数学も理科も理系の主要科目。しかし、消極的選択をした生徒は多くの場合数学・理科が特別好きでも得意でもないので、勉強のモチベーションも低く、すぐについていけなくなってしまうことがよくあるのです。理系に進むと数Ⅲが必須になりますが、数Ⅰ・Ⅱ・A・Bの基礎も怪しい生徒が数Ⅲを習っても、基礎がしっかりしていないので当然苦戦します。また、こうした生徒は将来専門的に学びたい分野を特に決めていないので、理科の選択科目についても深く考えず、理系で一般的な『物理・化学』としていることがほとんど。理科の中でも最も『理系的』科目である物理は、モチベーションの低い生徒にとっては負担が非常に大きい科目です。テストで『赤点』を連発し、そのまま大学受験まで物理が苦手なまま……という生徒をよく見かけますが、そのたびに「もう少し考えて科目選択をして欲しかったな」と思ってしまいます。  大学選びでの問題理科で『物理・化学』を選択していると、大学受験で生物が必須科目となることがある医療系や生物系などの学科に進みたいと思った場合、選択肢が狭まるので不利になります。例え進学できても、生物を高校で学習していない分、大学で生物をみっちり勉強しなければならないので、大学生活はかなりハードなものになります。また、理系学部に魅力を感じない受験生が選ぶことが多い経済学部。理系で選択する科目だけで受験できますが、数Ⅲは不要です。しかし高校を卒業するためには数Ⅲを受験間際まで勉強し続けなければならなくなるので、大きな負担となります。  理系を選ぶなら、大学やその後まで考えて!このように、よく考えずに理系を選択してしまうとさまざまな面で不利益を受ける可能性があります。安易な選択は禁物。理系を選ぶなら、専攻したい分野は何か、大学院に進むつもりはあるか、将来どんな仕事をしたいか、といったことまでよく考えた上で選ぶようにしましょう!