形式段落ごとの要点をつかもう説明文、評論文などの説明的文章は、必ず多数の形式段落に分かれています。たとえば、大学入試センター試験の国語で出題される評論文は、毎年20段落前後あります。「なんでこんなに段落がたくさんあるの?」と思う人もいるかもしれませんが、もちろん段落分けには意味があります。形式段落は、文章全体のなかで筆者が考える意味のまとまりごとに分けられているのです。そのため、段落ごとの要点をつかんでいくと、文章全体の流れもつかめるようになります。段落中の重要な文に線を引き、それらをつないで本文の要旨を把握していくようにしましょう。  1つの段落から、要点を1つ拾い出す要点把握の際に心がけてほしいポイントがあります。それは『1つの形式段落から1つの要点を探す』ということです。段落全体が細かい具体例の羅列になっているような場合を除けば、どの段落にも要点が存在するはずです。この要点を各段落から拾い出し、線を引くことを心がけましょう。文章は骨格となる筆者の主張に、具体例や比喩といった肉付けをしてできあがっています。要点拾い出しの作業では、逆にこうした肉をそぎ落とし、骨格だけを残すのです。段落内がすべて重要に見えたとしても、段落内すべてに線を引くというのはおすすめしません。あくまでも、線を引く箇所を1つにしぼるようにしましょう。特に、『たとえば』から始まるような具体例の部分には線を引かないクセをつけてください。具体例は筆者の主張ではなく、あくまでその補足説明の部分だからです。線を引く箇所をしぼる作業を通じて、段落内で最も重要な内容はどれなのかを考える習慣がつきます。この積み重ねが、本文全体の内容を素早くつかむ能力、そして解答の根拠となる部分を見つける能力を育ててくれます。初めは難しく感じるかもしれませんが、ぜひ継続してみてください。  要点がつかめれば、要約もできる学校によっては、入試で本文の内容要約を出題するところもあります。難関国立大の2次試験や小論文入試でよくみられますが、この要約という作業は多くの受験生が苦手なようです。しかし、要点のしぼりこみができていれば決して難しくはありません。具体例や過剰な修飾語をそぎ落とし、要点だけをつないでいけば自然と要約文の原型ができあがるからです。受験校の入試で要約が出題されるという人は、まず段落ごとの要点をつかむ練習をしましょう。その上で、要点どうしの順番を考えながら要約文をつくり、模範解答と比較していくとよいでしょう。