机に向かっているだけでは身につかない『生きた知識』受験勉強といえば、教科書やテキスト、問題集などとにらめっこしながら、ひたすら机に向かって勉強するというイメージがあります。もちろん、そうした努力がなければ、入試問題を解ける学力は身につきませんし、難しく見える入試問題も、その多くは受験勉強の中で身につく知識や考え方を組み合わせてつくられているので、勉強することは言うまでもなく非常に重要です。しかし、入試では、受験用の本には書かれていないような事項が出題されることもあります。特に、公立中高一貫校の適性検査では数多くみられます。こうした問題では、通常の受験勉強で得られる知識とはまた違った『生きた知識』が求められます。  実生活での体験で大きな差が出る『道順問題』公立中高一貫校の適性検査においてしばしば出題される問題の中に『道順問題』というものがあります。旅行や遠足、あるいは学校内のイベントなどで、与えられた条件をもとに各目的地までの所要時間を計算し、道順を考えながら行動計画をつくっていくことが求められる問題です。難しいものになると、急行と普通列車の乗り換えや交通費の観点などを組み込み、大人でも考えさせられる問題もあったりします。特に、バスや電車などの公共交通機関を使っていろいろな地点をまわっていくというタイプの問題がひんぱんに出題されていますが、時間や距離の計算はできるのに、いざ道順問題が出題されると苦戦してしまう生徒が少なからずいます。その原因は単純です。いつも自家用車や観光バスで『連れ回される』ばかりで、公共交通機関を使い、道順を考えながら旅行したことがほとんどないのです。なので、時刻表の見方も分かりませんし、道順を組み立てるにも四苦八苦です。こんな状態では、複雑な条件を与えられた適性検査の問題が解けるはずもありません。道順問題を解くためには、公共交通機関を利用し、時刻表や運行路線図などを見ながら自分で道順を考えることができる、実生活での『生きた知識』が必要なのです。  さまざまなことを経験し、知識を活用する姿勢を養おう道順問題に限らず、実生活上の『生きた知識』を求める問題は、公立中高一貫校では重要テーマですが、通常の受験勉強だけではなかなかこうした知識を得ることは難しいのが事実です。机に向かう勉強に加えて、小さなころから外に出てさまざまな経験を積み、体感として『生きた知識』を蓄積していくことが必要です。そして、知識を詰め込むだけの『頭でっかち』にならないように、知識を実生活で活用しようと常に考える姿勢を養いましょう。