電子辞書がすっかり定着した現代IT化が進行し続ける現代の日本。学習の世界でも技術の進歩はめざましいものがあります。かつて、電子辞書は画面も白黒2色で、辞書の収録語数も少なく活用しづらいものでした。しかし電子辞書は、ここ十数年で大きく進化しました。画面はフルカラー化し、多種多様な辞書や単語帳などの学習コンテンツを一挙に搭載、さらに音声によるリスニング学習も可能となりました。そして学生の心をつかんだ電子辞書は、今や学習の際に欠かせないアイテムとなりました。電子辞書を使うことで、調べたいときにすぐ調べることができるだけでなく、写真や音声など紙の辞書にはないデジタルコンテンツを活用できる上、単語や熟語の学習までできるようになったのです。学生にとっては、学習の幅が大きく広がったといえます。  電子辞書がなかった時代ってどうだったの?では、電子辞書がなかった時代は、どのように学習していたのでしょうか。学習に辞書が欠かせない高校生は、英和・和英・古語辞典などを携帯し、授業中だけでなく家庭学習の際も紙の辞書をめくりながら学習していました。特に進学校の生徒は、辞書がないと予習ができず授業についていけなくなるため、毎日の通学カバンに重くかさばる辞書を入れて持ち歩かなければなりませんでした。そのため、「あそこの生徒はカバンの厚さで分かる」といわれる学校もあるぐらいでした。  電子辞書にはない、紙の辞書の魅力って?電子辞書が当たり前の現代、子どもたちの間で、紙の辞書は電子辞書に比べ『重い』『かさばる』『辞書引きがめんどう』と敬遠されがちです。しかし、紙の辞書には電子辞書にない利点があり、現在も生徒に紙の辞書しか使わせない先生も多いようです。まず、紙の辞書には、調べたい語を見つけたときに目に入る情報量が多いという特長があります。電子辞書だと語の意味を詳しく見ていくためにはスクロールしなければならず、ついつい上部に載っているごく一部の意味だけをチェックすることになりがちです。それに対し紙の辞書では、その語がもつ意味や派生語などが一読しただけで目に入るので、一度の辞書引きでより多くの情報を得ることができます。また、紙の辞書をめくっていると、調べたい語以外の語も目に入ります。すると、意外な発見があったりするものです。こうした発見ができるのも紙の辞書ならではの魅力です。辞書は膨大な情報がつまった『知の源泉』とでもいうべき存在。様々な知識にふれる機会を得るという点では、紙の辞書のほうが優れているといえます。電子辞書と紙の辞書、それぞれの長所を踏まえた上で、上手に使い分けたいものです。