生態系が根付く湿地

みなさんは『湿地』について知っているでしょうか? 湿地とは、水深6mまでの

水域で、常に、もしくは周期的に地面が水でおおわれるのが特徴です。

近年、この湿地は自然保護の観点から重要視され、国際的に保護されるように

なっています。

湿地には、水辺ということもあり、多くの植物や小さな動物、さらには小動物を

えさにする水鳥が生息し、食物連鎖が成り立っています。豊かな自然が残る湿地は、

自然環境が失われつつある現代において非常に重要な存在なのです。

 

 

湿地保護のための条約『ラムサール条約』

世界的に湿地を保護するために結ばれているのが『ラムサール条約』です。

1971年、イランの都市ラムサールで調印されたためこの名前になりました。

2012年現在、162か国が条約を締結していて、登録された湿地は2000か所以上。

水鳥の生息地、そして人間の生活を支える生態系として、湿地の保全・再生を

呼びかけるとともに、生態系を維持しながら湿地の『賢明な利用』を行っていくこと、

そして湿地についての学習や情報交換を進めていくことを取り決めています。

 

 

日本のラムサール条約登録地

日本国内でラムサール条約に登録された湿地は2012年現在46か所、面積は合計137,968haにのぼります。国内の登録地については社会の入試問題に出題される

ことも多いのですが、全部を覚える必要はありません。

ラムサール条約登録地については、いくつか重要なポイントがあるので、

それに従って重要な湿地を覚えていくのがいいでしょう。

日本の登録湿地のなかで最も入試に出やすいのは、最初に登録された

北海道の釧路湿原です。日本最大の湿原でもある釧路湿原には、

特別天然記念物タンチョウヅルなど多くの鳥が繁殖や休息のためにやってきます。

他にも、『まりも』が有名な阿寒湖や、2012年に登録された大沼など、

北海道には全都道府県中最も多い13の登録地があります。

また、首都圏の入試で出題されやすいのが関東地方にある湿地です。

尾瀬(群馬県)、奥日光の湿原(栃木県)、栃木・群馬・埼玉・茨城4県にまたがる

渡良瀬遊水地、そして東京湾岸にある谷津干潟(千葉県)の4か所です。

この中でも谷津干潟は、開発にともなう埋め立てを免れ、東京湾岸では珍しい

水鳥の生息地として残されている点も重要です。

もう1か所、覚えておいてほしいのが琵琶湖です。実は琵琶湖もラムサール条約に

登録されているのです。近畿地方の水がめとして重要な水源になっている琵琶湖ですが、

ホンモロコやビワコオオナマズなど多くの固有種が生息しているため、

生態系の面からも重要といえます。

機会があれば、ぜひこうした湿地に足を運び、生態系を観察してみてください!