『猛暑日』『ゲリラ豪雨』……暑くなる日本の夏近年、最高気温が35度以上の『猛暑日』が珍しくなくなりました。暑さから熱中症にかかり体調を崩す人も続出。2013年は8月に高知県四万十市で国内の観測史上最高となる41度を記録。さらに東京では最低気温が30.4度と統計のある過去138年間で最高を記録し、人々は朝から晩まで暑さから逃れることはできませんでした。「東南アジアより暑い」との報道もされる日本は、だんだんと『熱帯化』しているようです。また、夏になるとしばしば発生するのが『ゲリラ豪雨』。一部の限られた地域に突如として降る集中豪雨のことです。時には1時間に100ミリを超える猛烈な雨も観測され、家屋の浸水、土砂崩れ、地下街の冠水、さらにはライブや花火大会などイベントの中止といったさまざまな被害を引き起こしています。この原因として挙げられるのがこの異常な暑さです。厳しい暑さによってあたためられた地表付近の空気は急速に上昇して積乱雲を形成します。発達した積乱雲はせまい地域に激しい雷雨をもたらすので、限られた地域に豪雨の被害が集中してしまうのです。  じわり影響、『地球温暖化』どうしてこんなに暑くなってしまったのでしょうか。原因はいろいろと考えられていますが、やはり『地球温暖化』の影響が大きいようです。実は、『猛暑日』という用語が気象庁によって制定されたのは2007年。それまでは『酷暑日』などの語が使われていましたが、1990年代以降に最高気温が35度以上となるケースが急増したため新しい用語を制定する必要が出てきたのです。科学的にもまだ分からないことが多い地球温暖化ですが、日本を含め世界各地で平均気温も上がり、日本でこのように猛暑日も増加していることを考えると、やはり温暖化の進行は現実のものとなっているようです。  都市部をさらに暑くする『ヒートアイランド現象』そして、暑くなった日本をさらに暑くするもうひとつの原因が、都市部で起きている『ヒートアイランド現象』です。暑くなるとどこもエアコンを付けますが、エアコンは室内を冷やすかわりに室外に熱を放出しています。この熱が都市を中心にまるで島のような形でたまることから『ヒート(熱の)アイランド(島)』と名づけられました。また首都圏では、東京都心部で発生した熱が海からの南東季節風に乗って北西に移動し、関東平野のはじに近い埼玉県や群馬県にも影響を与えています。2013年に高知県四万十市に抜かれるまで最高気温記録を持っていた埼玉県の熊谷市では、この100年で8月の平均気温が2.4度も上昇しました。群馬県の前橋市でも100年間に2.8度上昇。全国の他の都市と比べ1度以上も高くなっており、ヒートアイランド現象の影響はかなり深刻といえます。  温暖化対策だけでなく、『熱帯化』への備えも必要こうして『熱帯化』しつつある日本。温暖化の原因とされる二酸化炭素などの温室効果ガス削減も急務となっていますが、現実に私たちの生活に影響が大きい『熱帯化』に対する備えも忘れてはいけません。命にも関わる熱中症の防止、『ゲリラ豪雨』による水害に対応した街づくりなど、これからの私たちは『熱帯化』しつつある日本で暮らし続けるために必要な対策について考えていかなければなりません。