記録的な猛暑の原因はなんだろう?

2013年の夏は記録的な猛暑となりました。高知県四万十市江川崎では、8月12日に日本の観測史上最高となる41.0度を記録し、それまでの歴代最高記録だった埼玉県熊谷市・岐阜県多治見市の40.9度を6年ぶりに更新したのは記憶に新しいところです。

こうしたニュースは、特に中学入試では問われやすいので、しっかり覚えておきたいところです。特に近年は地球温暖化が進んでいると言われるので、猛暑はそれを裏づける出来事として注目しておく必要があります。

しかし、江川崎で最高気温を記録した原因は、猛暑だけではないのです。地図を見てみると、江川崎は四国山地にあります。それを聞くと「山の中って涼しいんじゃないの?」と思われるでしょう。でも、実際はここで最高気温を記録しています。では、なぜ山ぞいの地域が暑くなるのでしょうか。

猛暑の一因となる『フェーン現象』

山ぞいの地域に猛暑をもたらす気象現象、それが『フェーン現象』です。

これは、風が山を越えるときに空気が温められるために、山を越える前よりも越えた後の方が気温が高くなる現象です。空気のかたまりが山を上るとき、湿った空気の気温は標高100m上がるごとに約0.5度下がります。こうして冷やされた空気はそれ以上水分を含むことができなくなります。そのため、水蒸気だった水分は水滴になり、やがてそこに雲ができ雨を降らせます。雨を降らせたことで水分が少なくなり乾いた空気は、今度は山を下ります。その時、空気の気温は100m下るごとに約1度上がるのです。フェーン現象は、このように山を上るときと下るときでは、気温の変化の仕方が異なるために起こる現象です。

たとえば、標高0mの2つの地点AとBの間に標高1000mの山があるとしましょう。湿った空気がAの方から吹きつけ、山を上ると、気温は約5度下がります。そして、山を越えると、今度は気温が約10度も上がることになるのです。つまり、A地点とB地点では、B地点の方が5度も気温が高くなるわけです。

 

高い気温を観測した地点は、地図で位置を確認してみよう

このように、フェーン現象が発生すると気温は大幅に上がります。ちなみに、1933年に40.8度を観測し、熊谷と多治見に更新されるまで70年以上も最高気温の記録を持っていたのは、日本海側の山形でした。これも、太平洋側からの風によるフェーン現象が原因と言われています。

また、フェーン現象は夏に限らず1年中起こります。冬に季節外れの高温を観測することがありますが、これもフェーン現象が関係している場合が多いです。高温を観測した地点のニュースを見たら、地図で位置を確認してみましょう。「近くに山はあるか」「どこから風が吹いてきたのか」などを調べてみると、天気の勉強になるだけではなく、地理の知識も身につきます。