正月、お盆……今も残る旧暦行事日めくりカレンダーなどで、『旧暦』の日付が書いてあるのを見たことがありますか? 実は、現在の暦である太陽暦が使われるようになったのは明治時代から。江戸時代までの日本は、月の満ち欠けをもとにした太陰暦という暦を使用していました。現在の新暦に対し、この太陰暦が旧暦とよばれます。そして、現在の日本で行われる正月やお盆などの年中行事は、旧暦の時代から行われていたものが引き継がれています。しかし、こうした行事は旧暦の日付どおりに行われてはいません。 旧暦と新暦のずれ実は、旧暦と新暦には約1ヶ月のずれがあり、旧暦のほうが約1ヶ月遅くなります。そのため、旧暦の7月は新暦の7月より約1ヶ月遅く、現在の8月にあたります。そこで、旧暦7月に行われていたお盆が、新暦では8月に移動しています。なお、現在でも沖縄県などでは旧暦どおり7月にお盆行事を行っています。また、俳句に用いられる季語は旧暦での季節をもとにしています。そのため、やはり現在の季節と季語の季節にはずれがあります。大まかには、新暦の新年と2~4月のことがらは春の季語、5~7月は夏、8~10月は秋、11月~1月は冬の季語になります。例えば、『七夕』は夏というイメージですが、旧暦の7月7日は現在の8月にあたるので、七夕は秋の季語です。七夕といえば天の川を思い浮かべますが、新暦の7月は梅雨の時期にあたるので、なかなか夜空の星は見えませんね。でも、旧暦の七夕は現在の8月ですから、梅雨も明けています。旧暦の時代であれば、七夕の日には夜空の天の川がよく見えたわけです。 古文では旧暦の知識が役に立つ!また、旧暦の知識は古文でも役に立ちます。先ほども述べたとおり、旧暦は月の満ち欠けをもとにしています。月が見えなくなる新月の日を毎月1日として、次に新月になるまでを1ヶ月としていました。そのため、日付と月の満ち欠けは連動し、3日の月は必ず三日月になり、15日、つまり十五夜の月は必ず満月だったのです。そのため、日付を見ればその日にどんな形の月が出ていたのかが分かります。これを利用すると、古文で夜の場面が出てきた場合に、その時間帯に月明かりがあったのかが理解できます。15日であれば満月ですから、夜でも明るく、道や人の顔がよく見えたはずです。反対に、月初めや月末であればほとんど月は出ていないので、外は暗かったことが想像できるのです。情景のイメージがしやすくなりますね。このように、旧暦についての知識を持っておくと、様々な場面で役に立ちます。ぜひ、覚えておいてください!