子どもに浸透したネット2014年10月に神奈川県の横浜市など4市が発表した、神奈川県内の小中高生を対象に行われた『子どもたちのネット利用に係る実態調査』によると、携帯電話やスマートフォンなどインターネットに接続可能な端末を所持している子どもは全体の96.6%にものぼりました。特に、スマートフォンの普及率は50%を超え、高校生に至っては90.2%にも及ぶなど、子どもとネットとの関わりがますます深まっていることがわかります。 子どものネット依存がもたらす、生活習慣や成績への悪影響その一方で気になるのが、長時間ネットを利用することで睡眠時間が短くなったり、朝食を食べなくなったりといった問題です。ネット接続可能な端末を利用する時間が1日3時間以上の子どもの7割以上が、1日の睡眠時間が5時間未満であると回答しています。睡眠時間が短いということは、夜遅くまでネットをして朝起きるのが遅くなり、朝食を食べる時間がなくなるといった状況になりやすいといえます。さらに、寝不足と朝食抜きの状況は学校での学習にも悪影響を及ぼします。授業中に寝てしまったり、理解力や集中力が低下したりと、授業をきちんと受けるのが難しくなってきます。つまり、生活習慣の乱れは成績低下の原因にもなるのです。 子どものネット利用を制限する難しさ近年、こうした問題は全国で取り上げられ、子どものネット依存への対策が行われつつあります。子どもが夜9時以降に携帯電話やスマートフォンを使用するのを禁止する取り組みを行っている自治体も増えてきました。しかし一方で、今の子どもにとってネットはごくありふれたものです。先ほどのスマートフォン普及率を見てもわかるように、ネット端末を「みんなが持っている」という状態では、一時的に利用を制限するだけでは不十分です。あるいは、自分の子どもにだけスマートフォンなどを持たせないという手段に出ても、今度は子どもが学校で仲間の輪に入れなくなるという問題が生じる可能性が高いです。 親子で話し合いたい、ネットとの関わり方そこで重要になるのが、スマートフォンや携帯電話の『正しい使い方』を子どもが身につけることです。ネット依存が生活習慣を乱すということを理解することがまず重要ですが、ネットは使い方次第で毒にも薬にもなる存在です。たとえば、問題視されることの多い『LINE』ですが、グループ機能を利用すれば、テスト前に子どもどうしで問題を出し合うなど、学習に役立てることも大いに可能です。重要なのは、子どもが「ネットは利用しても、生活はきちんと自制する」という気持ちを持てるようにすることです。今や、ネットなしでは生きられない時代になってきました。ネット依存の危険性を認識した上で、正しいネットの使い方について、子どもが小さいうちから親子で話し合うことが重要ではないでしょうか。