『反転授業』って?

ここ数年、『反転授業』という言葉をよく耳にするようになりました。もしかすると、すでに学校で導入されていた、という人もいるかもしれません。

反転授業とは、従来の授業と宿題の役割を逆転、つまり『反転』させた新しい授業スタイルのことです。

今までは、学校の授業では基礎的内容を教えることに重点が置かれていました。そして宿題は、授業で学んだことの定着を図るためのものでした。

ところが、反転授業ではこうした授業と宿題の役割が逆転します。つまり、基本事項を家庭学習で学び、授業では家庭学習で学んできたことをもとにしながら、より発展的な問題にチャレンジしたり、討論などのコミュニケーション力を磨く活動を行ったりします。 

反転授業のメリットとは?

反転授業は、先生と児童・生徒の双方にメリットがある授業スタイルです。

反転授業を実施することで、学校の先生は、児童・生徒の知識活用力、思考力、あるいは応用力を伸ばすことに重点を置くことができます。そのため、児童・生徒の知的好奇心を刺激する授業を展開しやすくなります。また、難関校の受験に対応できるハイレベルな学力を持った児童・生徒の養成も期待できます。 さらに、児童・生徒のほうも、ただ知識を詰め込まれる受け身の授業から一変し、自ら考え授業に参加できるようになります。じっと座って先生の話を聞くだけの授業は退屈になりがちですが、クイズやパズルを解くのと同じで、頭を使って考える作業は楽しいものですし、何より退屈しません。反転授業の導入が進むと、授業中に寝てしまう児童・生徒はいなくなるのかもしれません。

反転授業を可能にするICT教育

反転授業が注目されるようになった理由のひとつに、ICT(情報通信技術)の発展にともない、ICTの教育へ導入が進んできたことが挙げられます。近年、タブレット型端末が急速に普及しており、学校単位での導入も行われるようになってきました。それにともない、タブレット型端末で動画を視聴することで、子どもが家庭で簡単に授業を受けられる時代が到来したのです。 実際に、日本でもタブレット型端末を利用した反転授業を行う学校が増えてきており、タブレット型端末がさらに普及すれば導入校も増えるものと思われます。また、ICTを活用した教育環境を研究している東京大学の山内祐平教授は、反転授業を「10年後の教室で主流になりうる学習スタイル」と評しています。反転授業が当たり前になる時代がくるのは、そう遠い未来ではないのかもしれません。

反転授業が広がると、家庭学習はどう変わる?

反転授業が広がると、家庭学習はどう変わっていくのでしょうか。 これまで宿題をする場だった家庭が、基本事項のインプットの場に変化します。それにより、家庭学習の質を高めることがより重要になってきます。家庭で十分に基礎を身につけられるかが、反転授業を成立させる上でのポイントになるのです。 いくらわかりやすい映像教材があっても、子どもひとりでの勉強が常にうまくいくわけではありません。苦手な分野だってきっとあるはずです。そのとき、家庭学習の質を高めてくれる家庭教師の存在がますます重要になることでしょう。10年後には、映像授業を見てもわからない内容を家庭教師に教えてもらう……そんなスタイルが一般的になるかもしれません。