東京オリンピックに合わせた英語教育改革を目指す

グローバル化が進む現代において、日本人の英語コミュニケーション能力の低さは日本の国際競争力を高める上でマイナス要因となっています。それに加え、2020年には東京オリンピック・パラリンピック開催が決定したため、日本に来る外国人を「おもてなし」する準備を整える必要があります。つまり、今まで以上に英語コミュニケーション能力を高めることが求められているのです。

そこで、日本人の英語力を高めるため、文部科学省は『グローバル化に対応した英語教育改革実施計画』を発表しました。目玉は、1.小学校における英語教育の拡充強化 2.中・高等学校における英語教育の高度化、の2つです。今後、中央教育審議会の検討を経たあと、2018年度から段階的に先行実施し、東京オリンピック・パラリンピック開催に合わせて2020年度から全面実施することが目標とされています。 

小5から英語が教科になる!

まず大きなポイントとして、現在小5から行われている英語教育を小3からに前倒しし、さらに小5からは英語を週3コマ程度実施する教科へと格上げすることがあげられます。現在、小学校高学年の主要教科は算数・国語・理科・社会ですが、ここに英語が加わることになります。他の主要教科同様、テストが行われ成績がつけられることも予想され、さらには中学入試で英語が導入される可能性もあります。 もちろん、すぐに中学入試で英語が実施されるわけではありませんが、すでに小さな子どもを持つ家庭の間では早期からの英語教育が注目され、英語スクール通いが増えているとの報道もあります。

中学生も“英語の授業は原則英語で”

小学生の英語教科化にともない、中学生の英語の授業もレベルアップすることが見込まれます。特に、「授業は英語で行うことを基本とする」とされている点に注目です。具体的には、授業中の指示などを英語で行い、教科書の内容も日本語の割合が減ることになると思われます。

ちなみに、高校の学習指導要領ではすでに2013年度から同様の内容が明記され、英語を用いた授業が始まっていますが、これが中学生から開始されるわけです。 また、中学校段階での英語能力の目安は、現在は英検3級程度とされています。新学習指導要領では、これが英検3級~準2級程度へと引き上げられます。

つまり、現在高校で学ぶレベルの英文法が中学校へと降りてくることになりそうです。?さらに、高等学校では「授業を英語で行う」とされる予定です。授業中のやりとりなども英語化され、授業中は日本語を話さないことになると思われます。また、発表・討論・交渉などの高度な言語活動を行うことも目標にあげられています。

これにともない、大学入試の改革も予定されています。従来の「読む・書く・聞く」能力の測定に限定されていた大学入試を改め、英検・TOEFLなど「読む・書く・聞く」に加え「話す」の4分野の能力を測定できる外部の資格・検定試験の活用がうたわれています。センター試験の改革と合わせて、将来的には英語の大学入試が大きく変わることになるかもしれません。

幼少期からの英語学習で大きく差がつく可能性

2020年度以降は英語学習のレベルが全体的に引き上げられることになりそうだ、ということがお分かりいただけたでしょう。 特に今後、重要になりそうなのが幼少期の英語学習です。現在の英語の学習課程においても、英語が得意な生徒と苦手な生徒の間には大きなレベル差が生まれています。小5から英語が教科化されると、これがさらに拡大することになりそうです。英語で苦労しないよう、子どもには早いうちから英語に親しむ機会を提供していくのがよいといえるでしょう。