センター試験、廃止へ

2014年12月、中央教育審議会は文部科学大臣に対して大学入試の改革案を答申しました。その中には、以前から話にあがっていたセンター試験の廃止も盛り込まれています。今後、この答申の内容をもとに教育制度改革が進められるので、そう遠くない将来にセンター試験は廃止されることになるでしょう。

では、中央教育審議会は、センター試験にかわる新しい大学入試のビジョンをどう描いているのでしょうか。答申『新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的改革について』(出典:文部科学省ホームページ)から、その内容を探ってみましょう。 

1度きりのセンター試験から、複数回の学力評価テストへ

答申では、早ければ2020年度からセンター試験にかわる新試験として「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」を導入すべきとしています。この両者の違いは多岐にわたりますが、まず回数が増えることが挙げられます。 現行のセンター試験は、1年に1度しか受験できない一発勝負の試験となっています。しかし「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」は、「年複数回の実施」とうたわれています。つまり、将来の国公立大学受験生は、新試験を複数回受けた後、さらに学校ごとの個別試験を受けることになります。

教科・科目の枠をこえた総合的な能力も問われる

さらに大きな変更点として、外国語・数学・国語といった従来の「教科型」の試験だけでなく、「教科・科目の枠をこえた思考力・判断力・表現力を評価」できるよう、「合教科・科目型」「総合型」の試験も組み合わせるとしている点が挙げられます。 細かな内容は今後決まっていくのでしょうが、科目ごとに行うのが当たり前だった従来の大学受験対策は大きく変更を迫られることになりそうです。

大学受験準備は早期化する?

新試験制度への切り替え後に想定されるのが、大学受験準備の早期化です。試験回数が増える上、科目横断的な学力も身につけておかなければならないので、大学受験対策にかかる時間は今以上に増えると思われます。 加えて、もし新試験が現在の1月より前に実施されることになれば、それも受験勉強の前倒し要因になります。進学校では、3年しかない高校生活のかなりの部分が新試験対策にあてられることになるかもしれません。

記述式導入で、基礎・基本の定着がより重要に

また、解答方式の変更も見逃せません。答申では「多肢選択方式だけでなく、記述式を導入」と明記されています。これは、新試験が知識・技能に加え思考力・判断力・表現力も評価の対象としているからだと思われます。 記述式が導入されると、英単語のつづり、国語の漢字、理科や社会の用語などを正確に覚えておかなくてはならなくなります。近年はマークシート方式が定着し、つづりや漢字を正しく覚えていなくても何とかなってしまうことが多くなっています。しかし、新試験制度のもとでは、こうした基礎・基本をしっかり定着させておくことも重要になりそうです。