少子化でも増える、看護・医療系の学校

近年、少子化の進行にともない、学生が集まらない学校が増えています。しかしその一方で、学校・学部の新設が相次いでいるのが看護・医療系です。たとえば、2015年度に新設される大学3校はすべて看護・医療系の学部のみで構成されています。また、学部の新設についても、看護・医療系の学部を新設した大学は全国で12校もあります(以上、出典:パスナビ)。 

看護・医療系は現代文重視

このように注目度の高い看護・医療系の学校ですが、入試にははっきりとした特徴があります。それは、『現代文重視』であることです。センター試験で国語を課す国公立大では、古文・漢文も入試科目に含まれます。しかし、それ以外の看護・医療系の学校では『国語(古文・漢文を除く)』すなわち現代文、あるいは小論文・作文が必須科目となっていることがほとんどです。特に私立大や専門学校の入試では、現代文を必須科目とし、英語や数学、小論文などを加えた2~3科目で受験する場合が多くみられます。

『読む』『書く』日本語能力が重要

看護・医療系の学校では、どうして現代文が重視されるのでしょうか。人体について学ぶには、生物のほうが重要に思えますが……。理由のひとつは、入学後の勉強にあります。看護・医療系の学校に入学すると、ほぼ例外なく勉強漬けの日々が待っています。実際に学校で使われるテキストを見てみるとわかりますが、册数もページ数も非常に多いのが特徴です。しかも、毎週のようにテストやレポートが課されます。日々、授業を受け、テキストを読み、レポートをまとめ、テスト勉強……などなど、大量の情報を処理しなければなりません。このように、看護・医療系の学校で学ぶためには、『読む』『書く』を軸とした日本語能力がきちんと身についている必要があるのです。

コミュニケーション力の基礎としての現代文

現代文が重視される理由は、それだけではありません。看護・医療職は、非常にコミュニケーションが重要な仕事です。病院や老人ホームといった職場では、適切な医療サービスを提供するため、患者や入所者とのコミュニケーションが欠かせません。もちろん、授業や実習現場で指導者からの指示をきちんと把握し、仲間との連携を保ち、そして状況に応じた適切な行動を取るために、密度の濃いコミュニケーションが求められます。そして、近年は『チーム医療』というのが医療現場でのキーワードになっています。大規模な病院では、医師、看護師、理学療法士、作業療法士、放射線技師、管理栄養士などの各専門職が、密にコミュニケーションを取り合い、連携しながら医療に携わります。つまり、看護・医療を職業とする上で、コミュニケーション能力は不可欠なのです。そこで、そのベースとなる日本語能力を測るため、現代文が重視されるのです。

まずは読書から!

というわけで、看護・医療系を目指す受験生は、現代文をしっかり勉強しておく必要があります。といっても、現代文は数ある科目の中でも特に勉強しにくい科目でもあります。そこで、当たり前に思えるかもしれませんが、まずは読書習慣を身につけることから始めてみましょう。解法のテクニックも重要ですが、それも大量の活字に対する慣れがあって初めて役に立つものです。かたいものからやわらかいものまで、様々な文体の本を読んでおくのがよいでしょう。もちろん、医療関連の本も読んでおくべきです。特に、推薦・AO入試を狙う場合には、基礎知識を仕入れる上でも、自分が志望する分野に関わる本をたくさん読んでおくことをおすすめします。

一般常識にも強くなろう

そしてもうひとつ、看護・医療系の現代文では漢字・四字熟語・ことわざなどの知識問題が出題されやすいという特徴があります。看護師をはじめとする医療専門職には、患者や同僚などとのコミュニケーションを成り立たせるための幅広い一般常識が求められるからです。そこで、高校の副教材などを利用して、知識問題をたくさん解いておくとよいでしょう。