洋楽はリスニング教材として使える?

英語の勉強には、大きく分けて『読む』『書く』『聞く』『話す』の4分野があります。このうち、『聞く』、すなわちリスニングは、『読む』『書く』と同様入試には出題されますが、いざ勉強するとなると意外に難しい科目です。普段の学校教育では、『読む』『書く』勉強と比べ、学ぶ機会は少なくなりがちです。かといって、自分で勉強しようとしても、リスニング教材のCDは速すぎて何を話しているか分からないし、そもそも教材のCDは難しそうで興味がわかない、などなど……。そこで、リスニング学習の素材として『洋楽』が挙げられることがよくあります。特に、英語にあまり関心がない人に、関心を持たせるための教材として提案されることが多いようです。「教材のCDと違って、音楽なら聞く気にもなるし、聞きながら英語力がつくんじゃない?」と思う人もきっといることでしょう。 洋楽だけではリスニングは上達しない

しかし、洋楽は英語に関心を持つきっかけにはなりますが、かといって洋楽を聞いているだけでリスニングテストの点数が上がるわけではありません。どうしてでしょうか?リスニングテストでは、英語の発音のリズム、すなわちイントネーションに従って聞き取れているかが試されます。しかし、歌にはそれぞれ独特のメロディがあり、会話でのイントネーションとは異なります。残念ながら、いくら洋楽を聞き込んでも、それだけでリスニングテストの点数がいきなり上がるわけではないのです。また、歌詞に使われる英語は、詩的・文学的表現が多くてカタい英語だったり、あるいは過度にくだけた、学校では使われない英語だったりします。リスニングテストに使われる英語とは、語彙や表現のしかたが違うのです。

意外なところで役立つ洋楽

ここまでの話だと、洋楽は英語学習に役立たないという結論になりそうです。しかし、全く役立たないかといえば、そうでもないのです。ただし、役立つのはリスニングにおいてではありません。意外に思われるかもしれませんが、洋楽の知識が威力を発揮するのは自由英作文です。自分で自由に文章を組み立てられる英作文では、言いたいことを英語で表現する力が求められます。その際には、使える表現をいかに頭の中に多くストックできているかがポイントになります。特に、自由英作文は試験問題の最後にあることが多く、時間に余裕がない中で表現をひねり出す瞬発力も求められます。

歌詞で広がる自由英作文の世界

そこで洋楽の出番です。「英語のテキストの例文を覚えるのは苦痛だけど、好きなアーティストの曲の歌詞ならすんなりと覚えられる」ということはありませんか? ただ聞き流しているだけでは意味がありませんが、歌詞を見ながら聞き込み、すべて英語で書けるレベルで覚えていれば、意外と英作文で役に立つのです。「何について書こうかな?」というとき、好きな曲のフレーズがふと浮かんで、そこから展開をふくらませることができるということは意外と多いのです。特に、文学的表現を多く含む「深い』歌詞を覚えておくと、単語力や表現力の幅も広がるので一石二鳥にも三鳥にもなります。洋楽が好きな人は、ぜひ歌詞にも注目してみてください!