AO入試と通常の推薦入試の違い

AO入試が通常の推薦入試と大きく異なるのは、校長の推薦が不要で、成績要件が推薦入試より緩和されやすいこと、そして受験生の強みや意欲、目的意識などをアピールする場が設けられることです。大学によって入試形式はまちまちですが、通常の推薦入試とは異なる独自の入試を行い、人物本位の選考を行う大学が多く、そのため一般入試や通常の推薦入試ではとても合格できないような生徒がAO入試で合格できた、ということもしばしば起こります。

 

AO入試に必要な『アピール力』

しかし、裏を返せば、AO入試では「成績はそれなりでもいいから、強烈な目的意識とか、キラリと光る能力を見たい。だから、入試でそれをアピールしてね」ということにもなります。実は、このアピールが意外と難しいのです。

AO入試を受験したいと思う人は、『アピール力』を磨くべきです。アピール力には、大きく分けて文章力とプレゼンテーション能力があります。まず、書類選考を通過しなければ次の面接やプレゼンテーションなどに進めないので、魅力ある志望理由書を書くための文章力は必須です。試験官に自分を理解してもらえるよう、自分の志望理由、強みなどを分かりやすく文章にまとめなければなりません。

そして、書類選考をクリアしたら、次に面接やプレゼンテーションなどが待っています。今度は試験官である教授たちの前で自分をアピールする必要があります。一例を挙げると、有名な慶応義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)のAO入試では、なんと30分間の面接・プレゼンテーションが課されます。30分もの間、自分をアピールしつつ、教授陣からの厳しいツッコミを乗り切らなければならないので、相当にハードな入試です。

このように、AO入試では、文章・口頭によるアピール能力が非常に重要です。

 

アピール力を磨くのに必要な要素とは?

しかし、こうしたアピール力を身につけるのは、独力では不可能です。志望理由を文章にまとめるのも、まとめた文章をチェックするのも高校生のレベルでは困難を伴いますし、欠点があっても自分では気づかぬままになっていることがしばしばあります。まして、面接やプレゼンテーションの練習は、どうがんばっても一人では無理です。

そこで、AO入試の受験生は、アピール力を鍛えてくれる人を自分で見つける必要があります。こうした積極性も、実はAO入試合格を引き寄せる大きな要素です。引っ込み思案ではまず合格できないのがAO入試です。自分を変え、合格できる力を身につけるためには、積極的に動き、自分を鍛えてくれる『師』を探さなければなりません。具体的には、学校や塾、家庭教師の先生などが候補になるでしょう。そして、『師』となる先生から、時には厳しい意見をもらいながら志望理由書やプレゼンテーション能力を磨いていくことになります。

これは一見、大変な労力に思えます。しかし、こうしたトレーニングは、きっとあなたを大きく成長させてくれるはずです。大学でも、そして社会に出ても、文章力・プレゼンテーション能力は非常に重要です。早いうちからそれらを鍛えられるのは大きなチャンス。その上、第一志望校の合格も手に入れられるとくれば、チャレンジしてみる価値は大いにあるといえるでしょう。