『センター試験利用入試』って?

近年定着してきた、私立大の『センター試験利用入試』。平成26年度大学入試センター試験では、全国の私立大606校(文部科学省 平成25年度学校基本調査より)中521校(大学入試センターHPより)と、実に約86%の大学がセンター試験利用入試を実施しました。

センター試験利用入試は、独自試験を課す通常の私立大入試とは異なり、文字通りセンター試験の結果を利用して合格判定を行う入試のことです。独自試験も併用する一部の学部・学科を除いては、センター試験を受験しておけば、独自試験を受験する必要がありません。

 

センター試験利用入試のメリットとは?

センター試験利用入試には、様々なものがあります。

第一に、試験場に足を運ぶ回数が減らせることです。国公立大を第一志望にしている受験生にとって、センター試験から国公立大二次試験までの約1カ月間は二次試験対策を行う重要な時期です。全問マークセンス方式のセンター試験に慣れた頭を、記述・論述式の二次試験モードへと切り替えなければなりません。しかし、私立大の独自試験はこの約1カ月間に行われることがほとんど。併願校として私立大を受けなければ浪人を覚悟することになり、かといって私立大を受験すればするほど二次試験対策の時間が削られる、というジレンマが受験生を待ち構えています。その点、センター試験利用入試なら、願書さえ提出してしまえば、私立大の受験対策も、試験場に足を運ぶ手間や費用も不要です。しかも同時に何校も併願すること、つまり、センター試験利用入試は、国公立大受験生にとってメリットが大きい制度なのです。

また、センター試験終了時点で、合格の可能性をかなり正確に把握することもできます。大手予備校のセンターリサーチを利用すれば、志望者内の順位を知ることができますが、上位私立大の場合、出願〆切をセンター試験前に設定している大学が多いです。つまり、こうした大学の場合、ほとんどの受験生が『出願予定の私立大』ではなく『出願(=受験)した私立大』のリストとセンター試験の点数をセンターリサーチに提出していることになるので、センターリサーチで表示される順位は、『実際の試験結果』にかなり近いといえます。

 

自分の実力・第一志望校に合わせて使い分け

しかし、センター試験利用入試にはデメリットもあります。

センター試験利用入試の合格ラインを偏差値で見ると、独自入試の合格ラインより高くなることがほとんどです。これは、センター試験利用入試は国公立大受験生の併願として利用されることが多いためです。国公立大に合格するには、センター試験で少なくとも7割前後、難関校であれば8割以上の得点が必要なので、国公立大に合格できる力を持った受験生が多ければ、センター試験利用入試の合格ラインも上がってしまいます。また、近年センター試験自体の難易度も上昇傾向にあり、短期間の対策だけでは高得点は難しくなっています。

なので、私立大しか受けないという受験生にとっては、センター試験を利用せずに受験校の独自入試だけに絞り、志望校の問題に合わせた対策を行うほうが得策ともいえます。自分の実力や第一志望校に合わせて、上手に入試制度を使い分けましょう!