スポーツに熱中してしまって、読書には興味がわかない?

「好きなことには熱中するけれども、自分から進んで読書はしない」という人がよくいます。特に、サッカーや野球などのスポーツに一生懸命取り組んでいる人に多くみられます。

こうした人は、学校と部活動やクラブチームなどに生活時間の大部分を割くので、読書習慣がなかなかつかない傾向にあります。また、周囲から読書を勧められても、興味がわかない本を読む気にはならず、本を読まないままになってしまい、いざ受験というときに読解力がなくて困る……ということになりがちです。

 

スポーツに取り組む人にも、取り組んでいない人にも参考になる本

そこでお勧めしたいのが、一流アスリートの考え方や言葉などをまとめた本です。プロとして活躍している一流選手は、その技量もさることながら、ひとつのスポーツと長く向き合い、スランプを乗り越えてきた中で得られた、一般人とは違う独自の考え方を持っています。

こうした考え方を学ぶことは、同じスポーツに取り組んでいる人にはもちろんのこと、そうでない人にとっても非常に参考になります。その上、日々の練習、試合の中で出くわす様々な状況が例として登場するので、スポーツに取り組む人にとっては、非常に理解しやすく、関心を持ちやすい本といえます。そのため、さっと読め、自然と読書経験を積むことができるのです。

調べてみると、意外と多くのアスリートが本を出していることに驚かされます。以下に、主なアスリートに関する本を、スポーツ別に挙げてみます。

 

  1. サッカー

『ほまれ』澤穂希/河出書房新社

『信頼する力―ジャパン躍進の真実と課題』遠藤保仁/角川oneテーマ21

『上昇思考―幸せを感じるために大切なこと』長友佑都/角川書店

『心を整える。―勝利をたぐり寄せるための56の習慣』長谷部誠/幻冬舎

『察知力』中村俊輔/幻冬舎新書

 

  1. 野球

『心の野球―超効率的努力のススメ』桑田真澄/幻冬舎

『だから僕は、笑顔になれる』坂本勇人/主婦と生活社

『投手論』吉井理人/PHP新書

『二塁手革命』菊池涼介/光文社新書

『決めて断つ―ぶれないために大切なこと』黒田博樹/ワニ文庫

 

  1. テニス

『負けない!―挑戦することは楽しいこと―』クルム伊達公子/ポプラ社ノンフィクション

『頂点への道』錦織圭・秋山英宏/文藝春秋

 

入試素材にもなる、スポーツ選手の本

実は、スポーツやスポーツ選手に関する本が入試問題の素材になるケースがあります。

入試の素材になる文章は、有名な著者の本であることももちろん多いのですが、近年話題になった本から素材が採られることもしばしばあります。たとえば、上に挙げた長友佑都選手の『上昇思考』は、2014年度の東京都立三鷹中等教育学校の入試で出題されています。また、同じ2014年度の川崎市立川崎高等学校附属中学校の入試では、日本サッカー協会副会長の田嶋幸三氏の『「言語技術」が日本のサッカーを変える』(光文社新書)も使われました。

このように、入試でも使われるスポーツ選手の本には、単なるスポーツの枠を超えた価値があるといえそうです。毎日の練習に没頭するのも大事ですが、時にはこうした本も読んでみてはどうでしょうか?