一人ひとり異なる入試日

医療系専門職として昔も今も人気がある看護師(正看護師)になるには、大学の看護学部、もしくは看護専門学校に進み、看護師国家試験に合格する必要があります。

しかし、大学でも専門学校でも、取れるのは同じ看護師という資格ですが、この両者にはいろいろな点で違いがあります。今回は、両者の違いを比べてみました。

 

違い1. 看護師になるまでの道のり

まず、看護師国家試験を迎えるまでのカリキュラムに違いが出ます。

看護大学は4年制なので、座学の時間を多めにとり、しっかりと勉強させる傾向にあります。そのため、どんどん進歩する医療や看護に関して十分に学び、高度な医療にも対応できる力が養われます。また、大学なので看護以外の教養科目も充実し、たとえば英語を十分に学んで国際的な活躍を目指すこともできます。

それに対して看護専門学校は3年制(准看護師資格取得者対象のコースは2年制)と看護大学に比べ時間数が限られるものの、卒業後に即戦力として活躍できるよう、病院などでの実習の占める割合が大きくなります。3年間の約3分の1は実習といわれるほどです。

そのため、看護や病気に関する知識、あるいは教養の面では看護大学出身者に一日の長がありますが、実際の医療現場で求められる看護技術の面では看護学校出身者のほうが評価されることも多いようです。

 

違い2. 資格

看護大学・看護学校ともに、看護師国家試験に合格すれば看護師資格が得られるのは共通しています。しかし看護大学の場合は、保健師・助産師の国家試験の受験資格なども得られるカリキュラムになっていることが多いです。看護師だけでなく他の資格も取得したいという場合は、看護大学を選んだほうがよいでしょう。

一方、看護学校の中にも、4年制のカリキュラムを設定し、保健師の受験資格も取得できるようにしている学校もあります。

 

違い3. 学費

看護大学は、国公立・私立でかなり学費が異なります。私立大学に4年間通うとかなり高額な学費が必要になります。そのため学費の安い国公立看護大学はかなり人気で、合格するのも大変です。

看護学校の学費は、単純に大学より通う期間が1年短いので、大学に比べ費用を抑えることができます。看護学校の場合は、公立の看護学校のほうが国立医療センターの附属学校に比べ学費が安い傾向にあるので、地元の病院に勤めたいという人は地元の公立看護学校を目指す場合が多いようです。

また、病院が看護学校を併設し、卒業後その病院で一定期間働くことを条件に学費を援助するということもよく行われています。市販の看護学校ガイドなどを見ると、学校ごとの学費などが比較できるので、受験の前には近隣の学校をよく比較してみるとよいでしょう。

 

違い4. 看護師としてのキャリア

もう一つの大きな違いは、看護師になって働くとき、あるいはその先のステップアップについてです。

国家試験に合格すれば同じ『看護師』ですが、看護学校卒業者は『専門学校卒』になるのに対し、看護大学卒業者は『大卒』の扱いです。高度な医療を行う大病院では、大卒のほうが有利になることが多いようです。就職の際、あるいはその後の昇進においては、より多くの時間をかけて深く学んでいる大学卒業者のほうが強いのです。一生看護師として働き、大きな病院の看護師長など高度なキャリアを目指したいという人は、看護大学を選んだほうがいいと思われます。

一方、看護学校は1年早く卒業できることがメリットです。看護師の世界は常に人手不足で、求人は数多くあります。むしろ地域の医療機関で働く場合には、技術をしっかり習得した看護学校卒業者のほうが評価されることもあるので、自分のキャリアビジョンにあった学校選びをすることが重要といえます。