大学入試改革が行われると公立中高一貫校が有利に!

文部科学省は、2020年度をめどに大学入試のあり方を大きくかえる改革案を発表しています。センター試験にかわる新しい共通テストとして『大学入学希望者学力評価テスト(仮称)』を導入し、大学個別の入学試験も小論文・面接・志望理由書などを活用した形式へと改めることが提言されています。

こうした動きの中で、改めて注目され、存在感をさらに増しているのが公立中高一貫校です。公立中高一貫校は、大学入試改革の流れに乗ってさらに人気化するとみられています。その理由を探ってみましょう。

 

大学入試改革で重視される思考力・判断力・表現力

大学入試改革案の中で重視されているのは、思考力・判断力・表現力です。

実は、こうした力は、まさに公立中高一貫校が適性検査や作文を通して受検者に求めている能力にほかなりません。公立中高一貫校入試では、小学校で学んだ基礎事項をベースに、長い文章や問題文の条件設定を読んで考え、解法を導く力(思考力)、与えられた資料などを適切に分析・活用して解答に結びつける力(判断力)、そして考え、判断したことを文章にして論理的に分かりやすく表現する力(表現力)が問われます。合格レベルに達する受験生は、小学校の時点ですでにこうした力を十分身につけているのです。

そして、難関をくぐり抜けて入学した生徒は、高校入試がない6年一貫の教育を受け、こうした力をさらに高い次元へ引き上げるカリキュラムを通して学力を伸ばします。その結果、多くの卒業生が難関大学合格を実現しています。すでに、公立中高一貫校の教育内容は一定の成果を挙げているのです。

 

大学入試で役立つ、受験経験

公立中高一貫校が注目される理由は、もう一つあります。

多くの公立中高一貫校は英語にも力を入れています。単なる大学受験用の英語教育ではなく、会話やディベート、あるいは英語での研究発表など、英語を積極的に活用する教育が行われています。また、短期・長期の留学や英検・TOEICなどの資格取得にも力を入れています。こうした英語重視・検定重視の姿勢も、大学入試改革の目指す方向性とぴったり合致しているのです。

 

合格でも不合格でも、受験には十分なメリットがある

このように、公立中高一貫校で行われる入試や教育内容は、大学入試改革案で示された新しい大学教育や大学入試のあり方とかなり重なっています。

そのため、大学入試改革の実施が近づくにつれ、公立中高一貫校への注目度はさらに高まると予想されます。もちろん私立の中高一貫校にも時代を先取りした教育課程をもつ学校は数多くありますが、適性を測る入試方式や、公立という性質からくる学費の安さからみると公立中高一貫校のほうに分があるといえます。

現在の小学生世代は、2020年度以降に大学受験を迎えます。大学入試を見越した学校選びを考えるなら、公立中高一貫校を検討する価値は大いにあるといえるでしょう。