志望理由を一人で『文章化』するのは大変

推薦・AO入試で課される志望理由書では、志望理由を文章にしてまとめる作業が求められます。実は、この『文章化』の作業が、多くの受験生にとってのハードルとなります。

それもそのはず、そんな作業をやったことがある人はほとんどいないからです。やったことがなければ、どのように書いていいかも分かりません。「さぁ、書こう」と思っても、なかなか文章にならないこともしばしばです。

 

受験生と試験官の間にあるギャップ

そして、もうひとつ大きな理由があります。それは、ほとんどの受験生が「読み手のことを想定していない」ことです。

志望理由書を読む試験官の多くは、高度な教育を受け、論理に習熟した教育者・研究者です。受験生と試験官の間には、言語運用能力・論理的思考力において大きな差があります。試験官を納得させ、自分のことを試験官に理解してもらうためには、受験生の側も正確な言語・論理を用いなければならないのです。ひとりよがりな文章ではなく、試験官に伝わる文章を仕上げることが求められます。しかし、高校生にいきなりそのレベルを求めるのは酷な話ですね。

 

『対話』から生まれる志望理由書

読み手である試験官から高く評価される志望理由書を一人で書くのはなかなか困難です。そこで有効なのが『対話』です。自分で考えるだけでなく、身近な大人と対話しながら書いていくことで、志望理由書作成が何倍も楽になる上、書類選考を通過できる可能性がぐっと高まります。

志望理由書を書く必要があるとわかったら、周囲で相談できる大人を探しましょう。通っている学校の先生は適任でしょう。また、塾や家庭教師の先生など普段勉強を見てもらっている人や、もちろん家族なども相談相手になります。

そして、まずはとにかく話すことです。話すことで『ネタ』が増える上、自分がなぜその学校に行きたいのか、自分でも気づかなかった理由が見えてくることもあります。

特に重視したいのが、「志望するきっかけになった体験」「将来の展望」です。志望のきっかけとなった体験は、記憶にはあっても、いざ文章にすると支離滅裂になりがちです。自分が覚えている限りのエピソードを話して、まとめてもらったり、時に『ツッコミ』をもらったりすることで、記憶が整理され、文章化しやすくなります。将来の展望についても、人生経験を積んだ大人の目線を取り入れることで、より現実味を増します。大学や専門学校への進学だけでなく、その先の職業まで考えた展望を描いていきましょう。

 

添削にも複数の視点を!

また、書き上げた志望理由書は必ず添削してもらいましょう。このとき、複数の大人にみてもらうことが重要です。試験官には様々な人がいるので、自分の思った通りの評価をしてくれるとは限りません。いろいろな視点でチェックしてもらうことで、ミスをなくすことができるのはもちろん、様々なタイプの試験官に対応した志望理由書を仕上げることができるのです。

推薦・AO入試を受験する人は、志望理由書作成に備え、早いうちから周囲に相談相手を見つけ、コミュニケーションをとっておくといいですね!