受験勉強って将来役に立たないの?

「受験勉強は将来役に立たない」という意見を聞いたことがある人は多いと思います。しかもそう語るのは、受験を経験し、そして実際の社会に出ている大人たちです。人生の先輩でもある受験の経験者たちから「役に立たない」と言われると、つい信じてしまいそうになります。

しかし、本当にそうでしょうか。必要がないものであれば、とっくに世の中からなくなっていてもおかしくありません。でも、受験という仕組みは昔も今も日本の教育制度にとって欠かすことができないものとなっています。そして、受験勉強も同様に不可欠なものと言えます。その理由についてみていきましょう。

 

大人が「受験勉強は役に立たない」と言うワケ

受験勉強が社会に出て役に立たないと言われてしまう原因のひとつに、社会人として働く上で受験勉強の知識はあまり必要とされないことが挙げられます。多くの職場では、英作文が書けなくても、図形の合同が証明できなくても、カ行変格活用が暗唱できなくても、仕事上困ることはほとんどありません。社会人は身をもってこの事実を体験しているので、「受験勉強は役に立たない」という言葉をしばしば口にするのです。

 

受験勉強は、上級学校で学ぶための土台づくり

しかし、だからといって受験勉強が不要と言い切ってしまうのは早計です。

受験勉強の目的のひとつは、上級学校で学ぶために必要な学力を身につけることです。上級学校で学ぶ内容は、質・量ともそれまでとは段違いです。ついていくためには、学力的な土台をしっかりと築いておかなければなりません。ピラミッドと同じで、広くてしっかりとした土台がなければ、難しい内容を学んでも積み上げていくことはできません。だから受験勉強では、一見、志望校で学ぶ内容や将来の仕事に関係がないように見えることでも、幅広く身につけておく必要があるのです。

事実、入試の現場では、推薦・AO入試で合格し、学力試験を経ていない生徒・学生が、一般入試で合格した生徒・学生よりも入学後の成績で劣るというケースが多く、問題になっています。そのため、推薦・AO入試合格者に対しては入学までに大量の課題を出して勉強させる、あるいは推薦・AO入試の枠を縮小・廃止するといった動きが出てきています。

 

社会に出ても役立つ受験勉強

そしてもうひとつ、受験勉強を通して学べることがあります。

受験勉強は、様々な困難との戦いでもあります。困難に出合い、乗り越えていく過程を通して人は大きく成長します。目の前の問題を把握し、クリアするには何が必要かを考え、対応策を実行して問題を克服するというプロセスの中で、分析力や問題解決能力、そして精神力といった多様な能力が磨かれるのです。こうした能力はすべて、将来社会人として働く上で欠かせない力です。受験勉強は、決して無駄なことではないのです。

 

将来のために、いざ受験勉強を

このように、受験勉強は様々な面で将来役立つのです。「どうせ役に立たないんだから」というささやきにまどわされず、目の前の目標とまっすぐ向き合い、努力を続けていきましょう。きっと、あなたの将来にとってプラスとなるはずです。