『リケジョ』=理系女子、では『ノケジョ』って?

『ノケジョ』という言葉を知っていますか?

以前、理系女子を指す『リケジョ』という言葉が話題になりました。この『リケジョ』という言葉が広まるにつれ、女子に人気の学部・学科がクローズアップされるようになってきましたが、最近は農学系女子を指す『ノケジョ』にも注目が集まっているのです。

 

増える『ノケジョ』

近年、全国の高校や大学で『ノケジョ』が増えています。

2015年5月19日付、読売新聞の記事『農の未来耕せ、ノケジョ急増…泥んこ嫌じゃない』によれば、近畿大学農学部では女子学生や女子の出願者数が増加傾向にあると報じられています。これは近畿大学に限ったことではなく、2015年度から農学部を新設した龍谷大学でも女子学生の割合が45%にのぼったとのことです。

また、文部科学省の調査でも、1989年度に20%だった全国の大学農学部の女子学生割合は、2014年度には43%に達したとのデータもあります。

農学部といえば、農作業や家畜の世話など、女子学生には縁遠そうなイメージがありますが、近年はそのイメージが変わってきたようです。

 

実は女子に身近な農学部

なぜ『ノケジョ』は増えているのでしょうか。それには、様々な要因が考えられます。

まず、女子学生にとって、農学部やそれに類する学部が扱う分野は非常に身近なものが多いことが挙げられます。農学部で研究される分野には、農業や畜産だけでなく、生命科学・バイオテクノロジー・食品科学など様々なものがありますが、女子にとっての関心事であるグルメや化粧などは、実はこうした研究分野に直結しています。

 

農業や畜産のイメージアップ

次に、若者の間で農業や畜産のイメージそのものがよくなっているという要因があります。

食料自給率の低下や若者の第1次産業離れが問題になって久しいですが、逆に問題意識を持って農業に取り組む若者の姿がメディアなどで広く取り上げられるようになり、従来の『きつい、汚い、危険』のいわゆる『3K』のイメージに代わる新しい農業・畜産のイメージが若者の間にできつつあるようです。こうしたことを背景に、日本の将来の食料生産について真面目に考え、農学を専攻する学生が増えているというわけです。

また、北海道の農業高校を舞台に、酪農や畜産を学ぶ高校生の青春を描き、アニメ化もされた人気マンガ『銀の匙 Silver Spoon』や、タレントの福田彩乃さんが農業高校に体験入学して実際の授業に参加したテレビ番組などの影響もあるのではないでしょうか。

 

受験しやすい農学部

さらに、受験の面でも農学部は理系女子を集めやすくなっています。

高校では、理系選択者は物理や生物などの科目を選択します。このとき、男子は工学系などの進路を念頭に物理を選択する傾向にありますが、女子の中には物理をきらって生物を選択する人が多くみられます。そのため、生物を勉強した理系女子が関心を深めて農学部を志望するというケースもよくあるようです。

しかも、農学部のほとんどは生物を入試の必須科目にしていないため、物理・化学の選択者でも受験可能です。物理を選択したもののどうも好きになれないという理系女子にとって、農学部は十分に選択肢に入る学部というわけです。

このように、『ノケジョ』増加には様々な要因がありそうです。興味があるという人は、ぜひ農学部のある大学を調べてみてください!