入試対策に、『新書』のすすめ

入試の国語、特に論説文の読解問題については、「文章がカタめで難しい」という声がよく挙がります。しかし、それは読書に慣れていないということでもあります。日頃から読書経験を積んでいる人にとっては、入試の読解問題で出題される文章もそこまで難しくは感じられないものです。

そこで、入試への準備として普段から読んでおきたいのが『新書』です。

 

新書と文庫の違い

新書は、書店や図書館に置いてある小さな本です。こう書くと、「文庫本のこと?」と思う人がいるかもしれません。新書と文庫はよく似ていますが、出版物としてははっきりとした違いがあります。

新書とは、各出版社から刊行されている、いわゆる『新書版』(173mm×105mm、または182mm

×103mm)サイズの書籍のシリーズです。文庫本(148mm×105mm)と比べると新書本はやや大きいのですが、それ以外にも重要な違いがあります。

文庫は主に小説などのフィクションを扱うのに対し、新書は主に実用知識・教養などのノンフィクション作品を扱います。しかも、新書の作品は基本的に新しいものばかりです。そのため、新書を読むことで、現代社会で役立つ知識や思考法などを学ぶことができるのです。新書を数多く読むことで今の世の中への理解が深まるので、今まで知らなかった分野への関心がわいてくることもしばしばあります。

 

さっと読めて、勉強にもなる

もう一つ、新書の大きな特徴として、「読み通しやすい」ことが挙げられます。

新書1冊あたりのページ数は、だいたい200~250ページぐらいです。ちなみに、新書の分野でもっとも古い歴史を誇る岩波新書のページ数は224ページと決められているそうです。この分量なら、じっくり読んでも1週間程度、読むのが速い人なら1、2日で読み終わってしまいます。また、図や表も多く取り入れられているので、決して字ばかりではなく、読んでいてもあまり疲れません。さっと読めて、しかも勉強になる。それが新書のよさです。

 

入試問題の素材にもなる新書

新書は、入試問題の素材としてもよく使われます。

全国の公立高校国語入試で出題された読解問題の出典を調べられるサイト『高校入試 国語出典作品データベース』(http://www.kokugo.jp/)によると、近年の公立高校入試で多く出題された論説文の出典のほとんどは、岩波新書、新潮新書、平凡社新書などの新書でした。

つまり、新書を読むことは、入試へ向けた準備になります。高校入試・大学入試対策として、新書は一押しの存在です。逆に、「高校入試レベルの読解力があれば新書は読める』ということもいえるでしょう。中高生のうちから新書に親しむことは、決して難しいことではないのです。

 

新書と出合える『新書マップ』

新書に出合うには、書店や図書館へ出かけるのが手っ取り早いです。

しかし、いきなり出かけるのではなく、まずは興味がわきそうな本を調べてみましょう。そこでおすすめなのが『新書マップ』(http://shinshomap.info/)というサイトです。このサイトでは、興味のあるキーワードを検索すると、それに関連した分野別におすすめの新書を案内してくれます。しかも、まるで本棚のように、実際の新書の背表紙まで表示してくれるのです。本のタイトルや著者、出版社だけでなく、本の厚さや見た目までわかるので、実際に書店や図書館で本を探すときの参考にもなります。

ぜひ、興味を持てる本を見つけ、数多くの新書を読んでみてください!