文部科学省の新たな高校教育プロジェクトとは?

科学技術系の人材育成で特に優れた取り組みを行っている高校あるいは中高一貫校を文部科学省が指定する『スーパーサイエンスハイスクール』(SSH)という制度を知っている人は多いと思います。指定校は、公的支援が受けられるほか、高校レベルにとどまらない研究活動に取り組んでいて、SSHならではのカリキュラムや研究活動にひかれて志望校を選ぶという受験生もよくみられます。

この取り組みに加えて、2014年度から、今度は国際社会で活躍できる人材を育てるための新しいプロジェクトがスタートしているのをご存じでしょうか?

 

将来の国際的リーダーの育成を図る『スーパーグローバルハイスクール』

それが『スーパーグローバルハイスクール』(SGH)です。スーパーグローバルハイスクールは、「高等学校等におけるグローバル・リーダー育成に資する教育を通して、生徒の社会課題に対する関心と深い教養、コミュニケーション能力、問題解決力等の国際的素養を身に付け、もって、将来、国際的に活躍できるグローバル・リーダーの育成を図ること」(出典:スーパーグローバルハイスクールHP http://www.sghc.jp)を目的に、2014年度からスタートしました。現在は全国で56校が指定されています。

 

SGH指定校が行う取り組み

SGHに指定された学校は、以下の取り組みを行います。(出典:スーパーグローバルハイスクールHP)

1.目指すグローバル人材像の設定

2.研究開発テーマの設定

3.グローバルなビジネス課題・社会課題に対する取り組み

4.課題研究(探究的な学習、国内外でのフィールドワーク)

5.大学との連携

6.企業や国際機関等との連携

このうち、大学との連携は必須項目となっていますが、他の項目については各校の特性や地域的特色を生かした取り組みが行われています。持続可能な社会づくり、平和、多民族・多文化共生といった国際的課題に対する取り組みを行っている学校が多くみられます。また、地方都市や山間部・離島の学校も指定されていて、過疎化や人口減少、さらには地域の衰退といった地域的課題にグローバルな視点で取り組んだり、学校がある地域と国際社会との架け橋になる人材の育成が行われています。

 

SGH指定校で学ぶと、どんなメリットがあるの?

それでは、SGH指定校で学ぶ生徒には、具体的にどんなメリットがあるのでしょうか。

学校ごとに取り組みは千差万別ですが、共通して言えるのは、SGH指定校で学ぶと英語の活用能力を伸ばせるということです。グローバル・リーダーになるには英語力が不可欠なため、大半のSGH指定校では通常の英語授業の枠にとどまらない様々な機会を設け、生徒が英語を使った活動に取り組めるようにしています。

具体的には、英語でのディスカッションやディベート、留学生等との国際交流、短期留学、あるいは英語での研究論文作成・発表といった活動を行う学校が多いようです。また、TOEFLやGTECといった英語の検定試験にも積極的にチャレンジさせ、通常の高校生のレベルを超えた資格やスコアの獲得を目指している学校も多数あります。

こうした取り組みは、今後予定される大学入試改革の方向性にも合致します。そのため、SGHの取り組みは今後ますます注目されるのではないでしょうか。難関中学・高校受験について考える際は、近隣のSGH指定校やその取り組みについて調べておくことをおすすめします。