指定校推薦を狙う上での注意点とは

私立大を目指す人にとって、指定校推薦はうまく使えば合格への最短かつ確実なルートとなります。合格への基準となる高校の評定平均値をクリアし、校内選考を突破できれば、特別な受験勉強をしなくても高3の秋には合格をほぼ確定させることができるからです。

 

しかし、注意しなければならないことがいくつかあります。今回は、高校のタイプ別に、指定校推薦を狙うにあたっての注意点を確認していきます。

 

1)大学進学者のほとんどが推薦入試を利用する高校

専門学科の高校や、普通科でも高校受験での偏差値が高くない高校の場合、授業では大学受験に必要かつ十分な勉強ができないため、大学進学の手段は推薦入試が中心になります。こうした学校では、私立大進学者が圧倒的に多くなります。そのため、学校側も積極的に指定校推薦を活用させるので、高校内の成績上位者がそのまま指定校推薦の候補者になる傾向があります。

 

ここで、指定校推薦の注意点となるのが「ひとつの学部・学科から高校に割り当てられる枠は基本的にひとつ」ということです。同じ学部・学科を希望する人が複数いた場合、校内選考での競争となります。その時の基準は、基本的には評定平均値です。

 

推薦進学者がほとんどの学校では、まじめにがんばっている生徒はオール5に近い成績を取ることが珍しくありません。校内選考でライバルと万一ぶつかっても負けないように、できるだけオール5に近い成績を目指しましょう。学校の授業をきちんと聞いて、試験前には先生の指示する範囲をきちんと勉強し、全ての科目で高得点を取りましょう。そうすれば、成績は比較的簡単に上がるものです。そして、指定校推薦で出願できる大学の数も増えるので、より希望に合う大学も見つけやすくなります。

 

(2)それなりに国公立大進学者がいる高校

一方、それなりに国公立大進学者がいる高校の場合、学校側の対応はガラリと変わります。指定校推薦が狙える生徒、すなわち評定平均値が4を超えるような生徒は、国公立大合格を目指させたい貴重な人材です。そんな生徒に、指定校推薦で「安易に」私立大に進学されると、学校側は外部へのアピール材料となる国公立大進学実績を増やすことができません。

 

そこで、学校側はこうした生徒が指定校推薦に関心を持つこと自体を嫌がることがしばしばあります。指定校枠のリストや評定平均値の基準などを調べようとしても素っ気ない対応をされたり、ひどい場合には生徒と面談をして国公立大受験をあきらめさせないように誘導したりします。

 

「一人ひとりが希望する進路を応援する」という生徒本位の立場で考えればとんでもない話ですが、実際にこうした例はよく見受けられます。こんな時は、指定校推薦を希望する理由、その大学に進みたい理由を高校の先生に堂々と説明すればいいのです。指定校推薦を希望する明確な動機をもち、先生の前でも自分の意志を貫けば、最終的には折れてくれるはずです。評定平均値ももちろん重要ですが、大学についてきちんと調べ、「その学校で学びたい理由」をはっきりさせることも重要といえます。

 

3)国公立大進学が当たり前のエリート校

最後に、国公立大進学が当たり前、東大・京大現役合格者もいるような高校の場合です。このような学校では、定期試験も難しいので成績を上げるのは簡単ではありません。しかし、決められた試験範囲内でコツコツ努力するのが得意な人にとっては、模試や大学入試よりも定期試験のほうが点数を取りやすかったりします。

 

そして、このような人にとっては、指定校推薦は「おいしい」入試です。エリート校には、早稲田大・慶応大をはじめとする難関私立大の指定校推薦枠がかなりあることが珍しくありません。しかし、国公立大合格を狙う人にとって私立大の指定校推薦は「関係ない」入試制度なので、国公立大進学者が多い高校では難関大の指定校推薦枠が使われず余っていることがよくあります。