大河ドラマは入試素材の宝庫

 

社会の入試問題の素材としてよく使われるものの一つにNHK「大河ドラマ」(以下、大河ドラマ)があります。大河ドラマは、毎年約1年間にわたって日本の歴史をもとにした作品を放送するドラマシリーズのことで、すでに50年以上続いています。毎年楽しみにしている人も多いことでしょう。

単にドラマとして面白いだけでなく、大河ドラマには社会の入試問題を作る人にとって使いやすい要素がいろいろと含まれています。そこで今回は、なぜ大河ドラマが入試問題になりやすいのか、どんなことを知っておくと入試に役立つのかについて解説していきましょう。(出典:NHK https://www.nhk.or.jp/taiga/index.html

 

日本史と深く関連する大河ドラマ

大河ドラマが入試の素材になりやすい第一の理由は、何といっても日本史上の人物や出来事と深く関連することです。参考までに、近年制作された大河ドラマ作品と主人公を以下に挙げてみます。

2016年 真田丸                真田信繁(のぶしげ)(真田幸村の別名でも知られる武将)

2015年 花燃ゆ                杉文(ふみ)(松下村塾で知られる吉田松陰の妹)

2014年 軍師官兵衛         黒田官兵衛(豊臣秀吉に仕えた福岡藩の祖)

2013年 八重の桜            新島八重(やえ)(同志社の設立者・新島襄(じょう)の妻)

2012年 平清盛                平清盛(武士として初めて太政大臣となった)

2011年 江(ごう)         江(織田信長の妹・お市(いち)の方の娘)

2010年 龍馬伝                坂本龍馬(薩長同盟などに貢献)

2009年 天地人                直江兼継(戦国大名上杉氏のもとで家老を務めた)

2008年 篤姫                   篤姫(薩摩藩出身、江戸幕府13代将軍・徳川家定の妻)

2007年 風林火山            山本勘助(戦国大名・武田氏の軍師)

 

2012年の「平清盛」以外は、すべて多くの人になじみの深い戦国~安土桃山時代か幕末~明治維新期を取り上げていることがわかります。

 

また、坂本龍馬・平清盛以外の人物は学校で学ぶ日本史に直接登場する人物とは言えませんが、杉文や江のように家族に歴史上有名な人物がいたり、大坂の陣で活躍した真田信繁や、豊臣秀吉の天下統一に貢献した黒田官兵衛のように、その生涯の中で歴史上の出来事と深くかかわっていたりと、実は入試ネタの宝庫なのです。

 

舞台となった地域にも注目!

大河ドラマが入試素材になりやすい理由はもう一つあります。それは、特定の地域を取り上げるため、地理などの問題とも関連させやすいことです。

 

たとえば、2015年の「花燃ゆ」では、幕末の長州藩(現在の山口県)が主な舞台となり、またドラマ後半では群馬県が新たな舞台となりました。

 

後半には、2014年に世界遺産登録された富岡製糸場も登場しました。また、2013年の「八重の桜」では八重の出身地である会津藩(現在の福島県)が主な舞台となり、東日本大震災からの復興とも絡んで話題となりました。

 

このように、大河ドラマは特定の地域が背景となっているため、地域史とよばれる特定の地域を取り上げた歴史の問題や、歴史と地理の融合問題などにも応用できます。問題を作る側からすれば、非常に使い勝手がよいテーマといえるのです。

 

入試問題の素材という観点から、大河ドラマは、主人公やその舞台となる時代、地域などに注目するとよいでしょう。

 

主人公・時代・地域に注目!

ちなみに、2016年の「真田丸」の主人公・真田信繁は信濃国(現在の長野県)出身で、徳川氏と戦っています。大坂の陣では、大阪城の弱点といわれた城の南側に真田丸というとりでを築き、徳川方を大いに苦しめました。

 

これから入試で出題される可能性が高いテーマなので、こうした経緯を知っておくと入試で役立つかもしれません。