子どもが言われたくないセリフ「勉強しなさい」

「勉強しなさい」と言う言葉は、子どもが親にもっとも言われたくないセリフでしょう。

 

よく保護者から「『勉強しなさい』といくら叱っても、子どもは反抗するばかりで効果がありません」という話を聞きますが、確かに思春期の子どもの都合や気持ちに関係なく一方的に投げかけられる「勉強しなさい」という言葉は、子どもをいら立たせるだけでなく、親子げんかの一因になることも珍しくありません。

 

「勉強しなさい」と言われない子ども、将来は大丈夫?

しかし逆に、親が子どもに「勉強しなさい」とまったく言わなかったらどうなるのでしょうか。

 

実は、「勉強しなさい」とまったく言われない子どもの将来は、日々「勉強しなさい」と言われて親に反抗心を持つ子どもよりはるかに不安だと言わざるを得ません。その理由は大きく分けて二つあります。

 

理由(1) 家庭学習しないことを黙認してしまう

普通、家庭で子どもと向き合う時間がもっとも長いのは親です。家で親が子どもに勉強させないということは、子どもが家庭勉強しないことを親が黙認してしまうことになります。これが理由の一つ目です。

 

もし勉強が何よりも大好きで、放っておいても勉強に打ち込んでいる子どもなら、親がいちいち「勉強しなさい」と言わなくても問題ないのでしょうが、残念ながらそうした子どもはごく少数です。大多数の子どもは勉強よりもテレビ、ゲームなどに目がいきがちです。

 

学習習慣を作らなければならない小~中学生の時期には、子どもに娯楽の誘惑を断ち、勉強に向かう習慣づけをしてやらなければなりません。その役割に最適なのは、やはり親でしょう。

 

理由(2) 人生の「壁」に対処できなくなる

そして、家庭学習しない環境で育った子どもは、人生において次々と出くわす「壁」への対処法を知らないまま大人になる可能性が高くなります。これが理由の二つ目です。

 

仕事でも人間関係でも、順風満帆で苦労知らず…… なんてことはまずありえません。勉強に立ち向かう姿勢がなく、楽なことや楽しいことしかしてこなかった子どもが大人になり、人生の「壁」に出くわしたとき、子どものころと同じような気持ちでいたら、大きな失敗を招くのは目に見えています。

 

例えばせっかく仕事に就いても、嫌なことがあったらすぐ辞めてしまうというのでは、社会で暮らしていくのも難しくなってしまいます。

 

子どもが成人し、働くことになったときに困らないよう、日々まじめに取り組む姿勢を身につけさせるのも、親の務めではないでしょうか。

 

家庭学習の時間を確保させる手立てを

「勉強しなさい」という言葉は確かに問題をはらんだ言葉です。しかし、上で述べてきたように、だからといって子どもに勉強させなくていいというわけではありません。反抗されることを恐れて子どもを放任してしまうのではなく、子どもの将来のことを考えた行動をとることが求められます。頭ごなしに「勉強しなさい」という言葉をかけるのではなく、別の形で子どもに家庭学習の時間を確保させる手立てを作りたいものです。

 

もし、親子間だけでは解決できないのであれば、親族や先生など第三者を交えて話し合いの場を持つのも一つの手です。どうしても自分の手に余る場合には、周囲の第三者に協力を仰いでみましょう。