文系からでも理系からでも目指せる学部がある

高校生にとって、文系・理系の選択は、人生の選択でもあります。大学には、文系からでないと難しい学部、理系の人にしか目指せない学部があるためです。

しかし一方で、文系からでも理系からでも目指せる学部もあります。志望学部がまだ固まっていない人は、こうした学部を知っておくことで選択肢が広がり、より柔軟な進路選択が可能になります。そこで今回は、文系・理系の中間的性質を持つ学部を取り上げてみたいと思います。

 

①看護・医療系

看護師・理学療法士・作業療法士などの医療系専門職を養成する学部は、文系・理系双方の要素を併せ持ちます。バランスのとれた人間性や教養が求められる一方、人体のしくみや薬の成分などの理科的知識も必要となりますし、状況を分析・判断する判断力、時には計算力なども求められます。

そのため、入試では文系・理系どちらの生徒も受験できるようになっていることがほとんどです。最も重要視されるのは人間性を見るための小論文・現代文ですが、その他の入試科目は英語に加えて数学・理科であることが多く、それらが必須であることも少なくありません。理科については物理では受験できないこともあるため、看護・医療系を受験する可能性があるなら生物・化学を選択しておいたほうが得策でしょう。

 

②経済系

経済学部は民間企業や公務員への就職者が多く、文系のイメージを持たれがちですが、学ぶ内容は理系的要素を多く含みます。経済学は経済の動きを数学的に分析するため、関数をはじめとする数学理論の理解が不可欠です。

そのため、経済学部には文系だけでなく理系の受験生も多くみられます。私立大では数学を受験科目から外すこともできますが、国公立大では二次試験で英語・数学が必須になる場合が多く、文系でも比較的数学が得意な受験生に向いている学部といえるでしょう。

 

③文理融合型学部

中には、文系・理系の垣根を越えた学部もあります。文系・理系に関係なく、様々な範囲の学問から自分の学びたいテーマを選んで学べる自由度の高さが魅力です。国立大学では広島大などがこうした学びを実現できる総合科学部を設置しており、入試では文系・理系それぞれに対応した入試方式を用意して、幅広い学生を受け入れています。

また、国立大学法人の文系学部の予算が削減される流れを受けて、既存の人文・社会系学部を改組して文理双方の要素を持つ総合的学部をつくる動きもみられます。たとえば、宇都宮大学は2016年から、地域のまちづくりについて文系・理系双方の教員とともに学ぶ地域デザイン科学部を設置します。

こうした学部でも、文系・理系の受験生それぞれに対応した入試制度を用意しています。文系の人も理系の人も選択肢に加えてみてはいかがでしょうか?