受験生が新聞を読むメリットとは?

4月12日に行われた東京大学の入学式において、五神真学長が新入生に対して述べた式辞が、新聞をはじめとした様々なメディアで取り上げられました。

 

その式辞の中で学長は「皆さんは毎日、新聞を読みますか?」と問いかけた上で、「ヘッドラインだけではなく、記事の本文もきちんと読む習慣を身に着けるべきです」「日本のメディアと海外のメディアとの報道のちがいにも注目してください」と語り、情報をうわべだけで分かった気持ちにならず、本質的に理解することの重要性を説きました。

 

たしかに日本の将来を背負って立つ大学生にとって、世の中の情報をきちんと理解することは重要に違いありません。しかし時間のほとんどを受験勉強に費やしてきた新入生の中には、新聞を読む習慣が身についていない人も多いはずです。

 

しかし新聞を読むということは、受験勉強においても決して無意味ではありません。今回は受験において新聞を読むメリットと、時間のない受験生のための新聞を読むコツについて紹介したいと思います。

 

新聞にも、受験に役立つポイントがたくさんです!

「新聞は受験に役に立つ」という言葉は、多くの人が聞いたことがあるでしょう。しかしそれがどんな風に役に立つのかまでを知っている人は、意外と少ないかもしれません。

 

まず、大学入試の問題には新聞の内容がよく引用されています。2015年度の大学入試問題では、朝日新聞の記事から出題した大学は250校、読売新聞では128校にまでおよびます。

 

記事が出題される科目は小論文や国語といった文系科目が多く、他にも英語の試験に英字新聞の記事が出題されているケースも少なくありません。

 

読売新聞を例に、記事の内容別に出題の傾向を見てみましょう。2015年どの入試では一般記事からの引用が33件、社説が25件、コラムや連載が21件、寄稿による記事が20件、そして英字新聞である「ジャパン・ニューズ」からは75件もの記事が引用されました。この比較をみると、英語の問題に出題されているケースが多いことがわかります。

 

とはいえ、あまりにも多く存在する新聞記事を暗記することは不可能ですし、確率的にも読んだ記事が自分の試験に出題されることは期待できません。しかし、試験問題に新聞記事から引用される文章は長文である場合が多いです。もし長文を読み慣れていない場合は、そこで何度も文章を読み返すことになります。試験で効率よく問題を解けるようにするためには、日頃から新聞記事を読んで長文に慣れることが効果的なのです。

 

また、新聞のメリットは読むだけではありません。

 

朝日新聞では受験対策の一つとして、連載されている「天声人語」を書き写すことを勧めています。天声人語の文字数は小論文の文字数に近い603文字で、このコラムを真似ることで文章の構成やリズム、表現力を体に染みこませることができるようになるそうです。信頼感の強い天声人語はもちろんですが、他紙で同様の文字数を持つコラムであっても、書き写すことで文章力を高めることができるでしょう。

 

受験勉強を削らず、新聞を毎日読めるようにするコツは?

このように、新聞を読むことは受験にとっても大切です。しかし他にもやることが多い受験生にとって、膨大な情報が詰まった新聞を毎日読むのはなかなか大変ですね。

 

新聞を読み慣れていない人は、いきなりすべての記事を読もうと考えない方がいいでしょう。最初のうちは紙面をぱらぱらとめくり、全体の内容を大まかにつかむことが大切です。1面の太字だけを読んで世の中の流れを掴み、気になった記事だけを読むことでも効果はあります。

 

また、新聞によっては、話題となっている出来事についてわかりやすく解説しているコーナーを設けているところもあります。そうした記事を欠かさず読むようにするだけでも、新聞を読む習慣を深めていくことができるでしょう。