「教科書を読むだけで東大に行ける」は本当か?

 

テレビやインタビュー記事などに、東京大学を卒業している著名人が「中学・高校の教科書を何度も読み込んで勉強すれば、東大に合格できる」という発言をしていることをご存知ですか?

 

大学受験には、ただでさえ予備校や参考書などの助けが必要だといわれているのに、学校の教科書だけで東大に合格することが可能なのでしょうか? にわかには信じられない話です。

そもそも受験勉強において、教科書はどれだけ役に立つのでしょう? ここでは「教科書を何度も読み込むだけで東大に行ける」の真偽とともに、受験と教科書の関係について述べていこうと思います。

 

教科書を読むだけで合格するのは、かなりの素質が必要

 

実際に東大を卒業した人たちのインタビュー記事を調べてみると、「教科書を読んだだけで東大に合格した」と話している方は確かに実在します。

東大を主席で卒業したある弁護士は塾には行かず、家庭教師もつけず、教科書を7回繰り返して読んで東大に合格できたと語っています。

 

ただしこの方は小さいころから勉強ができたらしく、しかも大学受験を始める前から1日5〜7時間も勉強するなど、人よりも努力を重ねてきたそうです。繰り返し教科書を読むという勉強法は、このように時間をかけて勉強する中で生まれたのでしょう。

つまりこの方の場合、元々勉強ができた上に、他の受験生の何倍もの努力を重ねたことによって東大への合格を果たしたと言えるでしょう。

 

学校の教科書を繰り返し読み直すことで東大に合格したと語っている人は他にもいますが、そういった人たちも勉強の素質と努力の両面を兼ね備えていたからこそ、受験に合格できたと考えた方が良さそうです。

中には純粋に教科書だけを使って勉強していたわけではなく、「結局どんな参考書よりも教科書が役に立った」という意味を誇張して発言している人もいるでしょう。

「教科書を読むだけで東京大学に受かる」という言葉はけっして間違いではないものの、その勉強法は向き不向きがあるので鵜呑みにしてはいけません。

 

教科書を活かして学力を上げるには

ほとんどの受験生は、教科書だけの勉強法で東京大学に合格することは、難しいと思います。

とはいえ、東大でなくても大学受験する人たちにとって、この勉強法は無意味なものであるとは言い切れません。なぜなら「受験において教科書が役に立つ」ことに変わりはないからです。

 

大学受験の試験は、基本的には高校までの学習内容から出題されます。よって、教科書には試験の出題範囲すべてが網羅されていることになります。

 

特に地歴・公民、生物、地学といった試験は、教科書の内容を完璧に理解し暗記すれば、あとは問題集で出題形式に慣れるだけで本番に対応できます。

地歴や生物では記述問題も多く出題されますが、これも教科書の記述が頭に入っているとすぐに理想的な回答を導き出せるでしょう。

 

もちろん他の科目でも教科書を読み込むことは重要です。ですが、教科書だけでは深く理解することは難しいですし、塾のように解き方のテクニックは教えてくれません。

だからこそ、教科書をしっかり読み込んだ上で、参考書や塾などでしっかり内容を補完することで、試験本番に通用するだけの学力を身に付けることができるのではないでしょうか。