地方大学の注目度が上昇中! その独特な取り組みとは?

 

近年では、大学をめぐる価値観にも変化が見られるようになってきました。

 

それまでは東京大学をはじめとした有名国立大学や、慶応や早稲田といった偏差値の高い私立大学の人気が高く、いわゆる「ブランド力の高い大学」として認知される傾向がありました。

 

しかし最近では、こうしたブランド力のある高い大学以外の、比較的知名度が低い大学でも高い就職率を示し、受験生や企業に注目されるようになっています。

 

その理由はどこにあるのでしょうか。

 

地方大学が注目されている理由は?

2014年度の大学の実就職率において、福井大学が1位を獲得しました。この「実就職率」というのは、卒業生数が1000人以上の国公立大学・私立大学を対象に大学通信が毎年公表している調査で、就職した人の数を卒業者数(大学院進学者数はのぞく)で割った数値で順位がつけられています。

 

この実就職率において、福井大学が2014年度では96.7パーセントという高い割合で1位となりました。しかも福井大学が1位を獲得したのは初めてではなく、これで4年連続

となります。

この実就職率のランキングでは、他にも名古屋大学や岐阜大学、三重大学といった地方の国立大学が、多くの有名大学をおさえて20位以内に入っています。

 

このように地方の大学が高い実就職率を示すようになった理由としては、地理的に不利な地方の大学が東京などの大学に比べ、積極的に就職支援を行っている傾向にあることが挙げられるでしょう。

 

地方大学の注目度は上昇傾向にあります。そうした流れの中で、独特の取り組みを行うことによって注目を集める大学も増えてきました。

次の章では、その一例を紹介します。

 

注目されている大学の取り組みとは?

・ICTを積極的に取り入れた金沢大学の取り組み

コンピューターやインターネットに関連する情報通信技術を表す用語であるICT。金沢大学では大学のオリジナルモデルであるノートパソコンを学生に推奨し、ICTを積極的に取り入れた教育を行っていることで注目されています。

 

高性能のパソコンを取り入れることによって、講義やゼミの展開が効率的になったり、レスポンスが向上したといった効果が報告されています。

 

昨今ではICT技術を習得した人材の必要性が高まっており、このスキルを自然と身につけている金沢大学の学生は社会での活躍が期待されています。

 

・帯広畜産大学「うしぶ。」のブランド牛乳

最近では「近大マグロ」に代表されるように、大学ブランドによる商品が有名になってきました。

 

しかし帯広畜産大学では半世紀以上も昔から「畜大牛乳」と呼ばれる大学発の商品を販売しています。

 

現在でも「うしぶ。」と呼ばれる部活の部員が乳牛の搾乳を行い、製造と販売を続けています。発売された牛乳は「濃厚で飲みやすい」と地元の人たちからは評判となっており、すでに地域では信頼できるブランドとして定着していることがうかがえます。

 

・高校ともコラボした、近畿大学の取り組み

最後に少しだけ、大学ブランドに関しては先進的な取り組みを行っている近畿大学の活動にも触れしましょう。

 

この大学では近大マグロの他にもカップラーメンや玩具など、さまざまな独自の取り組みを行っています。中には焼津水産高等学校が育てたスッポンのコラーゲンを利用して美容液を開発・販売するなど、他の教育機関とコラボレーションした取り組みにまで活動の幅を広げています。

 

ここで紹介した内容はごく一部であり、今では多くの大学が独自の取り組みを行っています。こうした大学ごとの活動についてもしっかり調べて、大学を選ぶ基準の1つにすると良いかもしれません。