志望校のランクを下げる? 下げない?

高校受験を控えた時期には、志望校の合格ラインに達していないか、あるいはギリギリの状況にある受験生から「志望校のランクを下げるかどうか迷っています」という相談がしばしば寄せられます。

これは、答えるのが非常に難しい問題で、答え方もケースバイケースです。なぜなら、志望校を下げたほうがいい受験生と下げないほうがいい受験生の両方が存在し、そのどちらにあてはまるかは受験生の学力や置かれている状況によって変わるからです。

そこで今回は、高校受験において志望校のランクを下げたほうがいい場合とそうでない場合について考えてみましょう。

 

①志望校にこだわりがない場合

志望校のランクを下げてもいい例としてまず挙げられるのは、もともと志望校に対する強いこだわりが受験生本人になく、単に偏差値だけで志望校を選んでいる場合です。

合格ラインギリギリかそれ以下の生徒は、たとえ運よく合格できたとしても高校では学年の下位をさまようことが予想されます。学校の魅力ではなく偏差値で高校を選んだ場合、高校の勉強についていけなくなると学習意欲を失ってしまいかねません。『奇跡の合格』がかえって生徒を苦しめるかもしれないのです。

また、「受かればラッキー!」という気持ちで志望校のランクを下げずチャレンジする手もありますが、一方で高校入学後のことを考えると、志望校を1ランク下げて無理なく合格できる高校を選ぶという選択肢も十分ありえると考えられます。

 

②『どうしても公立で』という場合

もう一つ、家庭の事情で公立高校以外への進学が難しい場合も、志望校のランクを下げてもいいと考えられる例です。『どうしても公立で』ということが優先事項になっている受験生は、不合格のリスクが高い高校に無理にチャレンジすると思わぬ事態を招く可能性があります。

もし、不合格になり、滑り止めの私立高校に通うことになると、当然ながら家計の学費負担は増えます。それによって、高校卒業後に進学できなくなったり、高校生活において金銭的問題から我慢を強いられたりといった状況は避けたいところです。

また、初めての受験でただでさえプレッシャーを受けやすい生徒にとって、「自分が落ちたら家族が困る」とさらなるプレッシャーを抱え込むのは危険です。もちろん、それをモチベーションに変えられる生徒であればいいのですが、全員がそうではないことを忘れてはいけません。

 

③志望校に強いあこがれがある場合

一方、受験生本人が志望校に強いあこがれを持っていて、もし滑り止めの私立高校に通うことになっても家族の同意が得られる場合には、なるべくギリギリまで志望校のランクを下げず、合格を目指して受験勉強にはげむべきです。

特に、都道府県内や地域のトップ校は、時に倍率が2倍を超える=合格者より不合格者のほうが多いということもあります。必然的に、こうした高校にチャレンジする受験生はみな、滑り止め校を用意し、不合格のリスクを覚悟の上で入試に挑むことになります。全員が同じ状況で必死に勉強して受験してくるため、中途半端な気持ちではなかなか合格できません。がしかし、受験しないことにはあこがれの志望校に通えるチャンスも得られません。

 

いかがでしょうか? もちろん、このような状況に置かれたときにどのような選択をするかはその人の自由です。しかし、どんな選択をしたとしても、高校受験は一生に一度の一大イベントです。不合格になって後悔しないよう、全力で受験勉強にはげみましょう。