現役合格したいけど、志望校のランクを下げたほうがいいの?

大学受験では、模試の志望校判定が思わしくなく「志望校のランクを下げたほうがいいのかな?」と悩む受験生がよくいます。特に、現役志向が強い昨今、私立大と異なり何校も併願することができない国公立大の受験生は、現役合格できる可能性の高い大学を目指すのか、それとも本来の目標校を狙い続けたほうがいいのか迷うところです。

この悩みに対する回答は、一筋縄では行きません。生徒の状況や目指す学校によって、ランクを下げるべきか否かは異なります。

そこで今回は、特に国公立大志望者を対象として、主に受験戦略の面から志望大学のランクを下げるかどうかの判断材料について説明します。志望校変更を考えている人の参考になれば幸いです。

 

センター/二次の配点・科目の違いに注目

国公立大入試の場合、注目すべきはセンター試験・二次試験の受験科目や配点です。

志望校がどこであれ、センター試験を受験することに変わりはありません。しかし、学部・学科によって、センター試験・二次試験の受験科目や配点は大きく違います。一般的に言えば、偏差値の高い大学ほどセンター試験・二次試験の受験科目が多く、またセンター試験より二次試験の配点のほうが高くなります。

そのため、志望校のランクを下げるだけで、受験科目や配点のバランスが大きく変わることがしばしばあります。たとえば、2016年度入試において千葉大学工学部の前期日程の配点は、センター試験450点に対し、二次試験が数学・理科・外国語各300点の900点で、センター試験のボーダーラインは71~83%です。一方、センターボーダーが66%の豊橋技術科学大学工学部の場合は、センター試験1100点に対し二次試験が数学300点のみです。(以上出典:旺文社『パスナビ』サイト)

つまり、上位国公立大はセンター試験での幅広い得点力ももちろん必要ですが、それ以上に主要科目では二次試験での記述力が求められる傾向にあるわけです。一方、志望校のランクを下げると、センター試験でまんべんなく得点を稼いでおけば逃げ切ることが可能になります。

 

二次試験での得点力がカギを握る!

このことは、受験生本人の得意・苦手分野とも関係してきます。二次試験で武器になる科目が複数あれば志望校のランクを下げないほうが戦略上有利ですが、マークシート式試験に比べ記述式試験が苦手な受験生は、合格判定が思わしくない状況では志望校のランクを下げることも検討すべきでしょう。

記述式の数学・理科が得意な、いわゆる“ど理系”タイプのように、ある程度得意教科がはっきりしている受験生であれば、その得意教科をみっちり鍛えて二次試験での得点力を上げれば、センター試験で多少失敗しても逆転合格を狙うことができます。この場合、二次試験の配点が高い上位大学のほうが逆転合格しやすいのは言うまでもありません。

一方、マーク模試ではある程度点数がとれても記述模試では偏差値が伸び悩むという場合には、たとえセンター試験の結果ボーダーラインをクリアしても、二次試験で他の受験生に逆転され不合格、という危険性がつきまといます。その場合は、後期日程に十分合格できるレベルの大学を用意しておくか、あるいは最初から志望校のランクを下げて前期での合格を目指すのもひとつの手でしょう。