国際化 に向けた人材育成の新しい取り組み「スーパーグローバル大学」とは?

さまざまな国との交流の機会が増えて、国の垣根を越えた経済活動や国際間での競争が、ますます重要な社会的テーマとなってきました。

 

こうした現状の中、文部科学省も高い国際力を身につけた人材を育成するための取り組みに注目しています。現在展開している「スーパーグローバル大学等事業」も、その中の1つです。

 

このスーパーグローバル大学等事業の内容を知ると、現在必要とされている教育の1つの形を垣間見ることができるでしょう。

 

文部科学省が進める、グローバル化に向けた人材育成のための取り組みとは?

徹底した「大学改革」と「国際化」を断行し、我が国の高等教育の国際通用性、ひいては国際競争力強化の実現を図り、優れた能力を持つ人材を育成する環境基盤を整備する。

 

文部科学省の公式ウェブサイトでは、スーパーグローバル大学創成支援の目的をこのような文章で説明しています。

 

具体的にはどのような活動を行っているかというと、その形は大きく2つに分かれます。

 

その1つが「トップ型」と呼ばれる取り組みです。

 

これは大学の世界ランキングトップ100に入ることを目的として、大学そのものが国際的なレベルアップを図ることを支援するための取り組みです。

 

認定の目安とされる具体的な取り組みとしては「国際的な活動の展開」「優秀な教員や学生が学内に集まるための環境整備」「海外大学との共同カリキュラムの構築など、連携の強化」などがあがっています。

 

もう1つが「グローバル化けん引型」と呼ばれる活動です。

 

こちらはすでに国際的な活動に関して実績があり、それを踏まえた上で新しい試みを行い、社会のグローバル化をけん引する大学を支援することが目的となっています。

 

文部科学省が例示する取り組みには「海外大学との教育の連携」「世界基準での教育の展開」といった内容があげられています。

 

目的としている形は違っているものの、これら2つの取り組みは、学生の国際力の強化につながる環境づくりが狙いであるという点で共通しているといえるでしょう。

 

スーパーグローバル大学に認定された大学には、トップ型では4億2000万円、グローバル化けん引型では1億7000万円の補助金が、2023年まで毎年支給されることになっています。

 

合計37校がスーパーグローバル大学に認定

前章で紹介した目的にもとづいて始まった、スーパーグローバル大学の事業。現時点での取り組みは、どのようになっているのでしょうか。

 

この事業に応募した大学は104校。その中でトップ型に認定された大学は東京大学や京都大学、北海道大学といった国公立大学、そして慶應義塾大学や早稲田大学などの私大を含めた、合計で13校の大学でした。そして千葉大、東京藝術大学、立教大学、長岡技術科学大学といった24校が、グローバル化けん引型の大学に選ばれています。

 

実施から約半年が経過した平成27年3月、文部科学省は現時点での取り組みに関する中間発表を、公式ウェブサイトに掲載しました。活動についての評価は大学によって異なるものの、その結果を今後の活動に反映させて、それぞれの大学が国際化の強化に努めていくことでしょう。

 

この事業がどのような形で実を結ぶかは、1つの目処である2023年を待たなければいけません。

 

しかしスーパーグローバル大学に認定された大学は、今後も国際力に関して成長が期待できるという見方もできます。大学では国際力を磨きたいと考えている受験生の方は、是非とも参考の1つとして、この事業の存在を覚えておいてください。