注目度急上昇中のインド式数学とは?

 

「インド式数学」という言葉をご存知でしょうか?インドと聞いて何となく数学ができるイメージは湧いても、「インド式数学」となると、何のことか分からない人も珍しくないでしょう。

 

インド式数学というのは、そんなインドの数学教育で用いられている考え方です。最近ではこのインド式数学を取り入れて指導を行っている学習塾が徐々に増えており、効果をあげています。基本の計算からつまずいてしまっている人は、こうした考え方を知ることで良いヒントがつかめるかもしれません。

 

インド式数学とは何か?

数学においてなくてはならない「0」という概念は、インドによって発見されました。現在でも数学教育には力を入れており、優秀なIT技術者が世界中で活躍しているなど、確実な成果をあげています。

 

インドの人が数学が得意な理由には、発想が柔軟であることがあげられます。

 

それは、これから紹介するインド式数学にもあらわれているといっても過言ではありません。

 

その内容はインドの学校で教えられているものであったり、親から子へと伝わってきたものであったりします。そうして受けつがれている数学の考え方が、今ではインド人の塾講師の方などを通じて、日本にも普及しつつあるのです。

 

発想の転換が大切。「インド式」の引き算と掛け算とは?

ここでは、具体的なインド式数学の考え方を説明します。

 

インド式数学にもさまざまな分野がありますが、ここでは特に基本的な内容である、引き算と掛け算を扱います。

 

たとえば、100-63という計算式があった場合、あなたはどうやって考えますか?

 

日本の小学生は、こういった場合に筆算を使います。しかし、そのためには百の位から1をとって、さらに十の位から1をとって……と、面倒なステップを踏まなければいけません。しかしインド式では、こういった手間が必要ありません。

 

インド式数学の考え方では、計算式の100を(1+99)という形に置き換えます。

 

こうすると、上記の計算式は(1+99-63)という形になり、隣りの位から数字を借りる必要がなくなるのです。

 

それでは、もう少し複雑な引き算ではどうでしょうか。

 

3126-1577のような、4桁の引き算をインド式で解いてみましょう。

 

インド式の引き算では、なんと(-2000+2000)といったキリの良い計算式を間にはさむのです。

 

すると3126-2000+2000-1577=(3126-2000)+(2000-1577)という形に置き換えることができます。

 

こうすると、分かりやすくなってきたのではないでしょうか。

 

(3126-2000)+(2000-1577)=1126+423=1549となります。

 

次に、インド式の掛け算の基本的な考え方を説明します。

 

例えば、35×64といった問題があった場合、日本人はすぐに筆算を使って計算しようと考えるでしょう。

 

しかしインド式数学の考えを用いると、暗算で解くことも難しくありません。

 

計算式を、以下のように変換してみましょう。

 

35×(8×8)=35×8×8=280×8=2240となり、計算が完了します。このように、式の形を置き換えることで、計算の過程をシンプルにすることができるわけです。

 

以上、インド式数学の一例を紹介しました。これらの内容から考えると、インド式数学というのは、計算の仕方に1つの工夫を加えることだとも考えられます。

 

ここで紹介した内容は引き算や掛け算といった初歩的な分野ですが、こうした「1つの工夫を加える」という発想は、受験の数学にも有効であるといえるでしょう。

 

これをきっかけにインド式数学について詳しく知ることで、数学の理解をより深めることができるはずです。