「キャリア教育」という言葉をご存知でしょうか?

近年では、自分の将来を意識しながら知識を増やし、考え方を養うことが、以前に比べて重要だとみなされるようになってきました。キャリア教育とは、こうした視点にもとづいて教育を考えていこうという考え方です。

 

受験とは関係がないように思うかもしれませんが、この考え方が広まるにつれて、受験におよぼす影響も報告されています。

 

自分の将来を考える上でも、キャリア教育の内容について知っておくことは、けっして無駄ではないでしょう。

 

そのための基本的な知識として、ここでは現在行われているキャリア教育に関する取り組みについてお伝えします。

 

子供の社会進出を見すえる「キャリア教育」

キャリア教育の本質について、文部科学省は公式ウェブサイトの中で次のように表現しています。

 

「今、子どもたちには、将来、社会的・職業的に自立し、社会の中で自分の役割を果たしながら、自分らしい生き方を実現するための力が求められています。

この視点に立って日々の教育活動を展開することが、キャリア教育の実践の姿です。」

文部科学省ホームページ「キャリア教育」より

http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/career/index.htm

 

つまり、将来についてイメージするきっかけを与えることで、就職などの将来設計について具体的に考えてもらうのが、キャリア教育の目的です。

 

自分の将来像を明確にすることで、自分の方向性がさだまり、意義のある進路選択ができる可能性が高くなるのです。

 

この考え方は、他にも「キャリアデザイン」「ライフデザイン」と呼ばれることもあり、さまざまな学校で導入されています。

 

その内容は、学校によって異なります。

 

具体的には「生徒に興味のある職業について調べさせ、レポートを提出してもらう」「卒業生やある職業に関する有名人を学校に呼び、職業の内容ややりがいを語ってもらう」など、さまざまな取り組みが行われているのです。

 

キャリア教育と受験との関係は?

キャリア教育は、いわゆる勉強とは異なる取り組みですが、この考え方は受験にも影響を与えています。

 

まず、キャリア教育に力を入れている高校は、大学の合格率が高くなる傾向があるという報告があります。

 

将来設計と受験勉強を結びつけた指導を行った結果、生徒のモチベーションが向上したことが、大きな理由であると考えられています。

 

また、産業能率大学がキャリア教育の結果を重視した「キャリア教育接続入試」を初めて取り入れたことで、注目を集めています。

 

この入試では「自己の将来構想」にもとづく課題解決プランのプレゼンテーションと面接、そして書類審査を行い、受験生自身のキャリアに対する意識を問います。その結果、大学が育てたいと考える人物像に一致していると判断されれば合格できます。

 

これは珍しい取り組みですが、キャリア教育の重要性がさらに高まっていけば、今後はこうした入試が増えていく可能性は充分にあり得るでしょう。

 

学校といえば、最初に「勉強をする場所」というイメージをする人が大半でしょう。

確かに勉強をすることも大切ですが、将来をイメージし、納得できる進路を見つけることも、学校での大切な課題の1つです。

 

自分の学校でキャリア教育が行われている人は、真剣に取り組みましょう。そうではない人も、自分の将来をしっかりと考え、そのための進路を検討する機会を持つことをおすすめします。