3種類のエネルギーの特徴は?

中学の理科でならう「エネルギー」。これがきっかけで物理の分野に興味を持った人も、逆に苦手科目になってしまった人もいるのではないでしょうか?

 

「エネルギー」と一口にいってもさまざまな種類がありますが、ここで紹介するのは「位置エネルギー」と「運動エネルギー」、そしてその両方を合わせた「力学的エネルギー」の3種類です。

 

物体が移動する時に発生するこれらのエネルギーは、計算問題という形で出題されることもあります。それぞれの性質の違いを理解しておくと、解法がイメージしやすくなるでしょう。

 

理科の得点を少しでも高くするためにも、ここでは改めて、3種類のエネルギーの特徴を紹介します。

位置エネルギー

高い位置にある物体が落下した時には、他の物体に作用して動かすことができます。

 

この時に働く、高い位置にある物体が持っているエネルギーのことを「位置エネルギー」と呼びます。

 

位置エネルギーの大きさは、物体がある「高さ」と、物体の「重さ」に比例しています。物体の位置が高く、そして物体が重いほど位置エネルギーは大きくなり、ぶつかった物体に与える力は大きくなります。

 

そのため、位置エネルギーは物体の高さと重さによって求めることができます。

位置エネルギーは、以下の計算式で求めることができます。

 

物体の高さ(m)×物体に働く重力(N)=位置エネルギー(J)

 

この計算式にあるN(ニュートン)とは物体の重力をあらわす単位で、質量が100gの物体に働く重力が1Nとさだめられています。

 

運動エネルギー

走っている台車などの動いている物体は、ぶつかった物体に作用し、動かすことができます。この時に発生する、物体を動かす力のことを「運動エネルギー」と呼びます。

 

運動エネルギーは、物体の速度が速いほど大きくなります。さらに、運動エネルギーは速さの2乗に比例することも知られています。

 

位置エネルギーと同様に、質量も運動エネルギーに関係しています。

 

運動エネルギーの求め方は以下のようになります。

 

速さ(m/秒)の2乗×質量×1/2=運動エネルギー(J)

 

力学的エネルギー

たとえば、球や台車などの物体を斜面の上に置いて、下に向かって転がしたとします。動き始めた物体は斜面を転がり終えた後も、しばらく進み続けるはずです。この時の動きには、位置エネルギーと運動エネルギーの両方が働いています。こうした場合に働く、位置エネルギーと運動エネルギーを合計したエネルギーを「力学的エネルギー」と呼びます。

 

斜面の上から物体を動かし始めた瞬間には、位置エネルギーは最大となっており、運動エネルギーは最小となっています。

 

一方、斜面を下り終えた瞬間の位置エネルギーは最小になるものの、運動エネルギーは最大です。自転車でブレーキをかけずに坂道を下りた時、坂道を下りきった時がもっとも速くなっているのは、運動エネルギーが最大になっているからです。

 

このように、位置エネルギーと運動エネルギーの値は変化しますが、この2つを組み合わせた力学的エネルギーは一定です。これを「力学的エネルギー保存の法則」と呼びます。

 

振り子は、この法則を分かりやすく説明する代表的な例だといえるでしょう。

 

高い位置で持っていた振り子を離すと、最初にあった位置エネルギーが落ちながら運動エネルギーに変換され、その運動エネルギーによって再び上に上がり位置エネルギーになります。

 

実際には空気の摩擦があるため何度か繰り返し振れた後で止まってしまうのですが、この摩擦がなければいつまでも同じ動きを続けることができるのです。

 

位置エネルギーと運動エネルギー、それらの総合である力学的エネルギーの性質を把握しておくことで、理科に対する苦手意識がなくなり、むしろ得意分野に近づけることができるでしょう。

それぞれのエネルギーの計算式、そして「力学的エネルギー保存の法則」を中心に勉強を進め、ぜひともこの分野への理解を深めてください。