大学受験の地元志向が進む理由とは?

大学進学は学生にとって、親元を離れるきっかけの1つでもあります。それは寂しい一方で、新しい生活に期待を膨らませる、大きな楽しみだと感じている人もいるでしょう。

 

しかし近年では、こうした状況が変わりつつあるようです。以前は大学受験を機に、上京や1人暮らしを希望する学生が多かったのですが、最近ではその割合が少なくなっているのです。

 

受験生の志望校の傾向が変化している背景には、どのような理由があるのでしょうか?

 

今回は大学受験の現状をあらわすトピックスの1つとして、「大学の地元志向化」に関する情報を紹介します。

 

進行する受験生の地元志向。その現状とは?

2013年にリクルートが行った調査によって、学生の地元志向が進んでいることが明らかになりました。

 

調査の対象になったのは、大学に進学した全国の男女3,256人です。

 

対象者に「志望校を選ぶ時に、地元に残りたいと思っていたか」というテーマでアンケートをとったところ、「ぜひ地元に残りたいと思っていた」と回答した人は31.8%、「できれば地元に残りたいと思っていた」と回答した人は16.9%という結果になりました。

 

この割合を合計すると、48.7%。つまり半分近くの人が、地元に残りたいと考えていたのです。

 

このアンケートでは「どちらでも良かった」と回答した人の割合は22.1%であり、「できれば地元を離れたいと思っていた」と回答した人は9.6%「ぜひ地元を離れたい」と回答した人は8.8%となっています。

 

地元を離れたいと回答した人の合計は18.4%で、残りたいと考えている人に比べると著しく少ないことがわかります。

 

つまり最近の受験生にとっては、地元に残って大学に通う方が主流の考え方であると言えるようです。

 

 

地方大学の充実が一因に

このような受験生の地元志向が進んだ背景には、まず経済的な事情があげられます。

 

リーマンショック以降の景気悪化の影響を受けて、経済的に厳しい状況に置かれた家庭が増加しました。家計が苦しくなったことにより、受験生が自宅からの通学を望むケースが増えているのです。

 

しかし、理由はそれだけではありません。近年では新しい学部を設ける地方大学が増えており、わざわざ都市部の大学まで行かなくても、希望する分野について勉強できるようになっていることも一因となっているのです。

 

このように、地元志向が進んだ背景には、「経済的な理由」というネガティブな要因と、「地方大学の学部の充実」というポジティブな要因の2つが重なっています。

 

こうした傾向は、おそらく今後の大学受験においても一般的なものとなるでしょう。

 

しかし何よりも大切なのは、希望する大学の条件や経済的な理由を考慮した上で、自分自身が納得できる大学選びをすることです。

 

このような特徴があることも参考にしつつ、綿密な志望校選びを行いましょう。それもまた、受験に必要な作業の1つです。