計算を効率よく行う展開のコツとは?

式の展開は中学から高校にかけて出題される計算問題の基本的な要素であり、必要になる機会の多い作業です。

 

展開に慣れておくと、複雑な式の計算も、スムーズに進められます。計算の効率が上がれば、余裕を持って試験に取り組めるようになり、数学の得点アップにつながります。

 

式の展開は、基本的な形式である乗法公式を覚えておくと把握しやすくなります。ここでは高校までに習う基本的な「乗法公式」についてお伝えするので、展開についてこれから勉強を始める人は、ぜひ目を通してください。

 

展開の手順を覚えましょう

式の展開とは、簡単に言うとカッコのついた式を、カッコのない状態にするという意味です。

 

例えば、中学校の1年や2年で習う簡単な因数分解の形に

 

x(y+z)

 

といった形式があります。この式を次のような形でカッコをはずす作業が展開です。

 

x(y+z)=xy+xz

 

このように、カッコに付いているxを、カッコの中にあるすべての項に掛け算します。この流れを「分配法則」と呼びます。

 

これが少し複雑になると、次のように2つのカッコがついた式の展開が必要になります。

 

(x+1)(x+2)

 

こうした形式の式でも分配法則を使って、xと1をそれぞれ(x+2)の式に掛け算します。

すると、次のような形になります。

 

(x+1)(x+2)=x2+2x+x+2

 

カッコを開いた後は「●xや■xなどの共通項をまとめる」「2乗などの、次数の高いものから順に並べる」「アルファベット順に並べる」といった作業を行い、整理をしましょう。

上の式の場合も、共通項をまとめて

 

x2+3x+2

 

という形にすれば、展開は完了です。

 

ここまでの式は最初の方で習うシンプルなものですが、勉強が進むにつれて、展開を行う式の形は複雑になっていきます。

 

「乗法公式」と呼ばれる公式を覚えておくと、さまざまな式の展開がスムーズに行えます。

次の章では、展開に大切な乗法公式について紹介します。

 

高校までに習う、基本的な乗法公式の内容とは?

乗法公式というのは、さまざまな式の展開に対応した公式です。

 

ここでは高校までに扱う乗法公式のうち、基本的な10のパターンを紹介します。複雑な式の展開が早く進められるようになるので、覚えておいてください。

 

①(x+a)(x+b)=x+(a+b)x+ab

 

②(a+b)(a-b)=a-b

 

③(a+b)=a+2ab+b

 

④(a-b)=a-2ab+b

 

⑤(ax+b)(cx+d)=acx+(ad+bc)x+bd

 

⑥(a+b)3=a3+3ab+3ab+b3

 

⑦ (a-b) 3=a3-3ab+3ab-b3

 

⑧(a+b)(a-ab+b)=a3+b3

 

⑨(a-b)(a+ab+b)=a3-b3

 

⑩(a+b+c)=a+b+c+2ab+2bc+2ca

 

丁寧に取り組めば、展開はそれほど難しい作業ではありません。

 

ですが、数学は効率よく解けるかどうかによっても、結果が大きく違ってきます。複雑な問題でも素早く解けるように、展開の基本的な考え方や乗法公式について、早めに覚えておくことをおすすめします。