高校入試への加点を検討する県も。注目される英語の民間試験

2020年度から始まる大学入学共通テストでは、英語の試験に民間試験の結果が活用されます。そのため、最近は民間の英語試験への関心がますます高まっています。

 

導入候補になっている、中高生を対象にした英語試験「GTEC」の受験者数は2014年は約73万人でしたが、2016年は約93万人と、大幅に増加しています。同じく候補の1つである「TEAP」は多くの大学の入試に採用されており、利用者数も増えたと言われています。

さらに、福井県は2018年度から県立高校の一般入試に「英検」の結果を反映させることを公表しました。

 

今回は、こうした近年の入試への民間試験導入に関する動きについて紹介します。

 

進む英語での外部検定利用。2024年度からはすべて民間試験に

2017年7月13日、文部科学省は大学入試センター試験に代わる「大学入学共通テスト」の実施方針を公表しました。国語や数学の一部に記述式問題を導入するなどの変化がみられる一方、英語に関する大幅な変更が注目されています。

 

英語の試験では民間試験を活用し、それらの試験結果を各大学の基準で評価することになります。2020年度から2023年度までは民間試験とマークシート式試験の両方が実施され、大学がどちらの試験を利用するか、または両方を利用するかを決めます。2024年度以降の入学試験からは、民間試験に一本化されます。

 

民間試験を活用しようとする背景には、従来の試験で問われた「読む」「聞く」の2技能だけではなく、「書く」「話す」も加えた4技能から英語力を評価しようとする狙いがあります。

 

活用する民間試験の種類は検討中ですが、文部科学省は現段階で英検やTOEFL、TEAP、GTECなどを候補に挙げています。

 

進む民間試験の活用。福井県が英検を高校入試に導入

福井県の教育委員会は、2018年度の県立高校の一般入試から、英検の取得級に応じて英語の学力検査に点数を加算することを発表しました。

 

この制度への反応はさまざまで「試験前から点数をもらえるのは助かる」「子供を小さい頃から英語教室に通わせてきた成果を活かせる」などの肯定的な意見がある一方、「学校で習わない部分で差がつくのは不公平ではないか」「経済的な理由で塾に通えないなど、余裕のない受験生が不利になる」などの否定的な意見も挙がっています。

 

6月の県議会では「学習機会の格差を生み、不公平につながる可能性がある」として、制度の見直しを求める意見書が可決されています。

 

福井県の高校入試での英検活用は見直される可能性があるものの、民間試験のメリットに着目した大きな事例の1つと言えるでしょう。

 

紹介した英語の民間試験導入の取り組みは、4技能の習得が重要な目的となっています。これからは試験対策に占める民間試験の重要性はさらに大きくなるでしょう。しかし、民間試験を受けることの長所はこれだけではありません。試験を通して受験後も活用できる英語のスキルが身につくことも、大きなメリットです。