人々の生活を支える学部。農学部の魅力を紹介します

近年では農学系の学部への注目が高まっているといわれています。農林水産省は公式ウェブサイトの中で、農学系の学問を専攻している女子学生・通称〝ノケジョ〟(農学系女子の略)の比率が、最近の調べでは44.3%(文部科学統計要覧〈平成27年版〉)に達していることや、2015年度には龍谷大学が国内で35年ぶりとなる農学部開設を行い、16年度には徳島大学が生物資源産業学部を新設したことを事例に挙げています。

 

農学部への関心が高まっている一因は、食の安全や環境問題に対する意識が高まっているためと考えられています。ここでは農学系の学部で学べる内容や卒業後の進路などの情報を紹介し、農業だけに留まらない、農学部の魅力をお伝えします。

 

農業について幅広く扱う農学部

農学部とは、農業に関する技術や考え方を勉強する学部です。関係のある分野は資源生物化学や応用生命科学、応用生物科学、経営学、土壌学、植物生理学、昆虫学、生理学、園芸学と多岐にわたり、ひとくくりに農学といっても、さまざまな学問が関わっています。課題にフィールドワークが組み込まれるのも特徴で、教室の授業や実験とは違う形で農作業の実情を把握できます。

 

また、農学部では最新技術を農業に応用する研究も行われています。例えば、北海道大学ではロボット技術と情報通信技術を農業に応用する「ICT農業」の研究を進めており、全自動で走行する無人トラクタによる農機のロボット化や、ビッグデータの活用による熟練農家の匠の技の蓄積・継承を目的にした研究を行っています。千葉大学大学院園芸学研究科は世界最先端の植物工場を持ち、太陽光とヒートポンプによるトマトの高収量生産システムや蛍光灯とLEDを活用した完全人工光型のレタス生産システムは、世界でもトップクラスといわれています。

 

このように、現在の農学部は農業の分野で活躍する人物を育成するだけではなく、農業の進歩を牽引する存在でもあるのです。

 

農学部の卒業後の進路は?

農学部を卒業した人の進路もさまざまです。官公庁、農業試験場の研究員、農業改良普及員などの公務員や、農協などの農業関係団体、一般企業では食品や医療品メーカーなどの就職先があります。近年ではバイオテクノロジーを扱う企業が増えたことで、コンピューター関連や大手メーカーの育苗部門などの求人も増加傾向にあります。大学によっては農学系の学部の実就職率(就職者数を大学院に進学しない卒業者数で割って求めた割合)が96.3%の所もあり、就職に強いことも農学部が注目される理由の1つです。

 

農学部で学ぶことは人々の生活を支える、とても大切な内容です。そこで得た知識や経験は自分をより成長させ、卒業後の活躍の幅を広げます。農業はもちろんのこと、生物や環境などの分野に興味がある人も、農学部に注目してみてはいかがでしょうか。