近年増えている文理融合型の学部の特徴とは

近年では、文系と理系の特徴を備えた「文理融合型」と呼ばれる学部の新設が増えています。2017年には、九州大学が「共創学部」を、滋賀大学が「データサイエンス学部」を、横浜国立大学が「都市科学部」を創設するなど、文系・理系の枠にとらわれず、掲げたテーマを追求する学部が存在感を増しています。

 

ここでは、文理融合型の学部に共通する特徴をお伝えします。さらに文理融合型学部の例として、名古屋大学の情報文化学部と九州大学の共創学部の内容を紹介します。これらの学部が掲げる目標を理解することで、進路の選択肢が広がるかもしれません。

 

文系と理系、両方の選択肢が広がる文理融合型

文理融合型学部とは、扱うテーマに文系・理系の要素が含まれ、両方が融合した学部を指します。具体的には、文理学部や総合科学部、生活科学部などが該当します。

 

文系と理系のハードルが低く、学べる分野の幅が広いことが、多くの文理融合型学部にみられる特徴です。このメリットは就職や進学にも役立つと考えられており、幅広い分野で活躍できる人材育成につながることも文理融合型の長所と考える大学もあります。

 

ひとまとめに「文理融合型」といっても、受験科目は学部によって違います。受験を検討する際は早くから入試科目をチェックして、重要な科目の対策を進めましょう。

 

文理融合型の学部はどんな所?

名古屋大学の情報文化学部は、「人間の集団である組織や社会が継続的に発展していくためには、さまざまな分野の言葉を理解して、互いの言葉を橋渡しできる人材が必要不可欠」として、1994年に創設された文理融合型の学部です。「自然情報学科」「社会システム情報学科」の2学科があり、文理の境界を越えてさまざまな知を媒介できる人材の育成を目指しています。名古屋大学情報文化学部の公式ウェブサイトでは、このカリキュラムの特長が就職にも結びついているとして「理系=専門技術職、文系=管理営業職といった従来の学部にありがちな進路の図式はありません。たとえば、自然情報学科の学生が金融業や流通業に、社会システム情報学科の学生が製造業やコンピュータ産業に就職することもあたり前なのです」と説明しています。

 

2017年に九州大学が創設した共創学部では、現代社会が抱える問題に取り組む意欲を持ち、その解決に貢献できる人材育成を目的としています。「能動的学習能力」「課題構想力」「協働実践力」「国際コミュニケーション力」の4つの力を伸ばすことを学部の教育目標に掲げており、4年間の学部教育を通してこれらの力を身につけ、グローバルに活躍できる人物の育成を目指します。

 

名古屋大学情報文化学部と九州大学共創学部は共に、現代のニーズに対応し、社会で活躍できる人材育成を目標に掲げています。

こうした目的を持つ文理融合型の学部が増加傾向にあるということは、それらの学部が目指す人物像が、近年の社会で重要視されているためだと考えられます。進路選択では、文系か理系かを考えるのも大切ですが、文理融合型という分野があることも考慮して学部を選びましょう。