目標は格差の改善。地域で行われている教育支援の取り組み

金銭面の問題から子供が塾に通うことができないなど、経済的な格差による教育の不公平を改善するために、自治体やNPO法人が塾代支援などの取り組みを進めています。

 

今回は具体例として、東京都が実施する「受験生チャレンジ支援貸付事業」、大阪市の「塾代助成事業」、NPO法人が渋谷区と連携して進める「スタディクーポン」の取り組みの概要をご紹介します。

 

塾代や受験料を無利子で貸付、東京都の「受験生チャレンジ支援貸付事業」

東京都福祉局では、都内在住の受験生がいる世帯を対象に「受験生チャレンジ支援貸付事業」を行っています。この事業では、対象の学習塾などの受講料は20万円まで、中学3年生またはこれに準じる人の受験料は上限2万7,400円まで、高校3年生またはこれに準じる人の受験料は上限8万円までと、それぞれにかかる費用の無利子貸付を行っています。貸付という形ではあるものの、高校や大学に入学した場合は償環免除という形で返済が免除されたり、他にも償環免除の適格要件に該当した場合は免除されたりと、塾代や受験料を免除してもらえる可能性が高いという特長があります。東京都福祉局の公式ウェブサイトには、この事業の内容や申し込み方法が詳しく掲載されています。

 

助成金額は最大月額1万円。大阪市の塾代助成事業

大阪市では、子育て世帯の経済的負担を軽減すると共に、子供たちの学力や学習意欲、個性や才能を伸ばす機会を提供することを目的に、塾代助成事業を行っています。この事業の対象となるのは、大阪市内在住の中学生を養育しており、養育者とその配偶者の所得金額の合計が、市の定める金額未満の人です。申請が認められると、学習塾や家庭教師、文化・スポーツ教室などの教育にかかる費用が、月額1万円を上限に助成されます。ただしこの助成は、利用先が大阪市塾代助成事業参画事業者として登録されていることが条件です。申請を検討する際は、まず塾代助成事業の公式ウェブサイトを通して事業者を確認しましょう。

 

渋谷区との連携で進める取り組み「スタディクーポン」とは?

NPO法人や企業が渋谷区と連携し、導入に向けた取り組みが進む「スタディクーポン」では、クラウドファンディングで寄附されたお金を元手に、渋谷区内の低所得世帯の中学生にスタディクーポンを届けます。クーポンを受け取った子供はそれを使うことで、自分で選んだ学習塾などに通えます。クーポンを受け取った学習塾などは、それを運営元のスタディクーポン・イニシアティブに渡すと、クーポンに応じたお金が支払われるという仕組みです。

 

2017年の11月30日まで行われたクラウドファンディングでは、目標金額を大きく上回る寄附が集まりました。現在は2018年4月のクーポン利用開始に向けて、渋谷区と共に参画する教育事業者や募集要項等を固めている段階です。

 

今回紹介した例のように、現在は経済的な理由による教育格差を解消するための取り組みが、さまざまな地域で行われています。スタディクーポンのような新しい形の受験生支援にも関心が寄せられています。経済的な不安を抱えている受験生は、自身の住む地域で学習支援の取り組みが行われているかどうかを確認してみてください。