大学ブランド・イメージ調査にみる、地域の人気大学は?

2017年の11月29日、日経BPコンサルティングが「大学ブランド・イメージ調査(2017-2018)」の結果をまとめた調査報告書を発売しました。この調査結果のデータは9つの地域に分けて、日経BPコンサルティングの公式ウェブサイトに一部公開されています。

 

11年にわたって毎年公表されているこの調査結果は、大学を評価する際参考になるでしょう。ここでは、公開されているビジネスパーソンベースのランキング結果で、それぞれの地域で上位3位以内に入った大学と、特徴的な変化があった大学を紹介します。

 

大学ブランド・イメージ調査の概要

大学ブランド・イメージ調査では、のべ457校の大学を「北海道」「東北」「北関東」「甲信越」「首都圏」「北陸・東海」「近畿」「中国・四国」「九州・沖縄・山口」の9つの地域に分けて、インターネット調査を行いました。調査回答者は各地域に在住する有識者(ビジネスパーソン)、中学生以上の子を持つ父母、教育・研究機関従事者で、合計約42,000人におよびます。公式ウェブサイトで公開されているランキングは、ビジネスパーソンの有効回答をもとに作成されました。

 

質問項目は「一流感がある」「いま注目されている、旬である」などの一般イメージスコアが15項目、「教育機関としてのビジョンがある」「在学中の資格取得に積極的である」などの大学ブランドイメージスコアが19項目、「勉強、研究に熱心である」「個性的である」「語学に長けている」などの学生ブランドイメージスコアが15項目です。これら49の項目の得票率を束ねて算出した総合スコアを、平均50の偏差値(単位はポイント)にしました。

 

各地域の高スコア大学は?

北海道で対象になった大学は13校です。そのうち北海道大学が76.6ポイントで第1位、小樽商科大学が55.0ポイントで第2位、北海道教育大学が51.9ポイントで第3位でした。また、北海学園大学は1.0ポイント伸ばし、上昇率で第1位となりました。他にも、人工知能やITの分野で注目される公立はこだて未来大学が「いま注目されている、旬である」の項目で第1位を獲得しました。

 

東北地方では38校が対象になりました。第1位は東北大学で90.1ポイント。第2位は58.2と同ポイントで東北福祉大学と山形大学でした。会津大学は上昇率が3.7ポイントともっとも高く、10位以内にランクインしました。

 

北関東の19校中、第1位は筑波大学で81.9ポイントです。次いで宇都宮大学で56.8ポイント、群馬大学で54.3ポイントとなりました。上昇率の第1位は、2.5ポイント伸ばした宇都宮大学でした。

 

甲信越の22校では、信州大学が75.3ポイントで第1位、新潟大学が68.6ポイントで第2位でした。長岡技術科学大学は60.6ポイントで第3位になった上に、3.2ポイントを伸ばして上昇率でも第1位になりました。

 

首都圏では88.6ポイントを獲得した東京大学が第1位、82.4ポイントを獲得した慶應義塾大学が第2位、81.0ポイントを獲得した早稲田大学が第3位でした。特に上昇が著しかった大学は、3.1ポイント伸ばした東京学芸大学、2.7ポイント伸ばした二松舎大学、2.5ポイント伸ばした帝京大学でした。

 

北陸・東海地域では65校が対象になりました。この地域のブランド力ランキングは、北陸と東海の2つのエリアに分けた結果が紹介されています。北陸の1位は66.0ポイントの金沢大学、2位が56.7ポイントの金沢工業大学、3位が51.3ポイントの福井大学でした。東海は名古屋大学が95.0ポイントで第1位、南山大学が66.3ポイントで第2位、中京大学が64.4ポイントで第3位でした。北陸・東海を合わせた上昇率では、5.2ポイント伸ばした至学館大学が第1位でした。2016年11月にオリンピックメダリストの吉田沙保里氏が副学長に就任した同大学は「いま注目されている、旬である」の項目でも第1位を獲得しました。

 

近畿地方の第1位は93.3ポイントの京都大学で、72.2ポイントの大阪大学、71.8ポイントの同志社大学が続きした。京都大学は上昇率でも第1位を獲得した上に、49のイメージ項目中29項目で第1位を獲得しています。

 

中国・四国地域のブランド力のランキングは、対象の59校を中国と四国の2つのエリアに分けて作成しています。中国では84.2ポイントを獲得した広島大学が第1位、続いたのは81.4ポイントを獲得した岡山大学、62.5ポイントを獲得した広島工業大学でした。四国では61.7ポイントを獲得した徳島大学が第1位で、61.4ポイントを獲得した香川大学、61.3ポイントを獲得した愛媛大学が続きました。上昇率では、香川大学が、7.7ポイントを獲得して第1位となっています。また、教員免許や管理栄養士、社会福祉士といった国家試験受験資格が得られ、卒業生の合格率でも高い実績がある美作大学が「在学中の資格取得に積極的である」という項目で第1位を獲得しました。

 

九州・沖縄・山口地域の55校では、93.9ポイントを獲得した九州大学が第1位、71.3ポイントを獲得した熊本大学が第2位、64.1ポイントを獲得した福岡大学が第3位でした。熊本大学は6.2ポイント伸ばし、上昇率で第1位を獲得しています。他には、法文学部と観光産業科学部を再編する「国際地域創造学部」の設置が認可された琉球大学が、「他大学にはない魅力がある」「個性的である」の2つの項目で第1位を獲得しています。

 

ブランド力ランキングでは、首都圏で第1位の東京大学や近畿地方で第1位の京都大学など、知名度の高い大学が第1位を獲得する傾向があります。しかし上昇率や項目別のランキングに注目すると、近年になって魅力を増している大学が把握できます。大学選びの参考にしてみてください。