重要視される理数系。科学好きの裾野を広げる「科学の甲子園」の取り組みも

文部科学省は平成30年の2月14日に、学校教育法施行規則の一部を改正する省令案及び高等学校学習指導要領案を公示し、意見の公募を開始しました。公表された「高等学校学習指導要領の改訂(案)のポイント」では、理数教育の充実を図ることが主な改善事項の1つに挙がっています。

 

また、理数教育の1分野である科学が好きな学生を増やすため、「科学の甲子園」という競技が行われています。今回は科学への興味を育む取り組みであるこの「科学の甲子園」について紹介します。

 

科目の新設も検討。理数教育の改善事項とは

「高等学校学習指導要領の改訂(案)のポイント」では、教育内容の主な改善事項の1つに「理数教育の充実」という項目が盛り込まれています。この項目では「理数を学ぶことの有用性の実感や理数への関心を高める観点から、日常生活や社会との関連を重視(数学、理科)するとともに、見通しをもった観察、実験を行うことなどの科学的に探究する学習活動の充実(理科)などの充実により学習の質を向上」と記載されています。具体的な改善の例として、数学の統計教育の充実や、新しい探究的科目として、「理数探究基礎」及び「理数探究」を新設するといった内容を挙げています。また、新設科目の狙いとして「将来、学術研究を通じた知の創出をもたらすことができる創造性豊かな人材の育成」と記載されています。

 

競い合うことで知識や興味を伸ばす「科学の甲子園」

理数教育の充実が進められているなか、理数科目の知識や技術を競い合うことで学生のレベルを高めようとする取り組みがあります。

国立研究開発法人科学技術振興機構は、次世代人材育成事業として「科学の甲子園」を実施しています。これは高等学校等の生徒チームを対象に、理科・数学・情報における複数分野の競技を行う取り組みです。平成24年3月に第1回大会が行われ、平成30年には3月16日から19日にかけて、第7回全国大会が行われました。

 

科学の甲子園の代表チームの要件は、都道府県内の高等学校等に所属する、同じ学校の1~2年生の6~8名で構成されていることです。第7回では平成29年6月から平成30年1月にかけて各都道府県で都道府県大会が行われ、そこで選ばれた各代表チームが埼玉県で開催された全国大会に集まり、実力を競い合いました。大会競技は筆記競技と実技競技からなります。筆記競技は理科、数学、情報の中から、習得した知識の活用について問う問題(教科、科目の枠を超えた分野融合的な問題が出題される場合もあります)で競います。実技競技は同じ3科目に関する実験、実習、考察等、また科学技術を総合的に活用して、ものづくりの能力、コミュニケーション能力等により課題を解決する力を競います。

 

科学の甲子園の公式ウェブサイトには過去に行われた全国大会の問題や解説、ダイジェスト・レポートなどが掲載されており、大会に参加していなくても同じ問題に取り組めたり、与えられた課題に一生懸命に取り組む生徒たちの様子を見ることができます。こうした機会に注目すると、自身に刺激を与え、科学への関心を養うきっかけになるかもしれません。