進むタブレット端末の普及。推薦入試への導入も

2017年12月1日に国内大学で初めてタブレット(iPad)を使った入試を実施したと、佐賀大学が発表しました。近年では教育分野でタブレットを活用する動きが進んでおり、自治体が導入するケースも増えています。今回は佐賀大学のタブレットを使った入試の内容を紹介するとともに、タブレット導入の具体例として、東京都荒川区と佐賀県の事例をお伝えします。

 

推薦入試にタブレットを活用。特性を活かし、学習する能力もテスト

発表によれば、タブレットを使った入試は、佐賀大学の理工学部と農学部の推薦入試の受験者65人を対象に行われました。この入試では、試験開始前にタブレットの操作方法を30分説明した後、60分の試験時間内に数学・物理・化学・生物・英語の教科書レベルの問題が出題されました。試験では、タブレットの特性を活かして、一度間違えた問題も試験時間中に自動採点し、解説を示したうえで類題を解かせて「学習する能力」も見たといいます。試験終了後は解答の採点が自動化されるので、受験生個々の答案は直後に行われた面接においても活用されました。

 

教育現場への活用が進むタブレット

荒川区では21世紀型能力(「主体的・協働的・探究的」な学びによる思考力や問題解決能力、コミュニケーション能力、情報スキルや情報モラルなどの21世紀を生き抜くために必要な力)を育成するツールとして、区内の小中学校全校に9,500台のWindows8.1タブレットPCを導入しました。中学校は1人1台の環境を整え、授業や校外学習、校内行事などの学校教育で活用しています。電子黒板と連動した授業が行われたり、動画の撮影や閲覧といった機能を使いこなすことで、生徒が前向きに取り組めたり、効率的な授業が行えるようになった、といった効果が報告されています。

 

佐賀大学がある佐賀県では「先進的ICT利活用教育推進事業」という取り組みを進めています。その1つとして全36校の県立高校を対象に、2014年度からWindows8Proの導入を実施しました。この取り組みは、情報活用能力やコミュニケーション能力などの育成を目的としています。Windows8Proの導入を通して、きめ細かい指導の実現、情報活用能力やコミュニケーション能力の習得・向上、自分のペースに合った学習などの効果が期待されています。

 

ここで紹介した事例の他にも、現在はさまざまな地域や学校でタブレット端末の導入が進んでいます。また、佐賀大学は平成30年度以降に、県内企業と共同開発したCBTシステム(学習力測定)を、推薦入試やAO入試においてタブレットを利用した英語4技能や、動画などを用いた小論文などの入試方法にも導入する計画で、また、教育への応用も検討予定で、タブレットの導入をより積極的に行う意向を示しています。こうした取り組みのように、受験にもその影響が及んでいることを覚えておきましょう。