注目される国際バカロレア資格。多くの認定校が取り入れているDP(ディプロマ・プログラム)とは?

「国際バカロレア」と呼ばれる教育プログラムが注目されています。平成30年度の東京都立高校の国際バカロレア資格の取得を目的としたコースの応募状況が高い倍率を示していたり、新たにコースを設置する高校が増えたりと、その影響は中学生の進路選択にもあらわれています。

 

国際バカロレアには4つのプログラムがありますが、多くの高校がその中の「DP(ディプロマ・プログラム)」と呼ばれるプログラムを取り入れています。今回は日本での国際バカロレアの普及を示す事例を紹介するとともに、認定校の多くが導入しているDPの内容について説明します。

 

都立の認定校は高倍率。新たにコースを設ける高校も

文部科学省の公式サイトによれば、「国際バカロレア」は「国際バカロレア機構(本部ジュネーブ)が提供する国際的な教育プログラム」とされています。国際バカロレアの認定を受けている学校(国際バカロレア認定校)で、学校の評価とIBO(国際バカロレア機構)の評価が基準を満たすと、国際バカロレア資格という国際的に認められている大学入学の資格が付与されます。平成29年6月1日の時点で、国際バカロレア認定校は世界140以上の国・地域、4,846校あります。日本では学校教育法第1条に規定されている学校で、20校が認定を受けています。

 

東京都の教育庁が公表した平成30年度東京都立高等学校入学者選抜応募状況の中で、認定校の1つである東京都立国際高等学校の国際バカロレアコースが、募集人員20人に対して107人の応募があり、倍率が5.35倍にものぼることが発表されました。また、横浜国際高等学校国際科では、平成31年度に各年次25人程度の国際バカロレアコース(仮称)を新たに設置するために準備を進めています。

 

多くの認定校が導入しているDPの内容とは

設置の準備を進めている横浜国際高等学校国際科は、国際バカロレアのプログラムのうち、認定校の中でもっとも多く導入されているDPの導入を予定しています。DPのカリキュラムは「言語と文学(母国語)」「言語習得(外国語)」「個人と社会」「理科」「数学」「芸術」の6つのグループから1科目ずつ選択し、6科目を2年間で学習します。また、カリキュラムの中核となるコアとして、次の3つの必修要件を並行して履修します。

 

・課題論文(EE)

履修科目に関連した研究分野について個人研究に取り組み、研究成果を4,000語(日本語の場合は8,000字)の論文にまとめる。

 

・知の理論(TOK)

「知識の本質」について考え、「知識に関する主張」を分析し、知識の構築に関する問いを探求する。批判的思考を培い、生徒が自分なりのものの見方や、他人との違いを自覚できるよう促す。最低100時間の学習。

 

・創造性・活動・奉仕(CAS)

創造的思考を伴う芸術などの活動、身体的活動、無報酬での自発的な交流活動といった体験的な学習に取り組む。

 

これらDPカリキュラムを全て履修し、外部評価(国際バカロレア試験等)及び内部評価を通じて、45点満点中、原則として24点以上を取得すると、国際バカロレア資格を取得できます。

 

国際バカロレアは大学の選択肢を国際的に広げられる資格です。将来は海外でも活躍したいと考えている方は、高校の選択肢の一つとして、この資格に注目しましょう。