給付型の創設を知らない人が多数。進路選びの前に奨学金の種類を知りましょう

リクルートマーケティングパートナーズと全国高等学校PTA連合会が「第8回 高校生と保護者の進路に関する意識調査2017」を実施し、その結果を公表しました。この中で、奨学金に関して、新しく創設された給付型をはじめとして、制度の内容を充分に認知していない保護者と高校生の割合が高いという結果が示されました。

 

調査が示す、奨学金制度の認知状況

「第8回 高校生と保護者の進路に関する意識調査2017」は、全国の高校2年生1987人と保護者1722人を対象として、2017年9月15日から10月26日の期間中に実施されたアンケート調査です。

 

この調査では、家庭の経済事情が進路に及ぼす影響や進路に関する考え方、貸与型奨学金制度の利用意向といった項目とともに、奨学金制度の認知に関して質問がなされました。その中の「『日本学生支援機構』の奨学金制度に、『貸与型』に加えて新たに『給付型』が創設されたこと」の認知状況を調査する質問では、保護者で「知っていた」と回答した人の割合は31.9%で、「知らなかった」と回答した人の割合は65.1%にものぼりました。高校生を対象に行った同じ質問では、「知っていた」が17.4%、「知らなかった」が81.0%と、保護者以上に認知されていない状況であることが分かります。

 

「奨学金には、『給付型(返還不要)』と『貸与型(一定期間内に返還)』があること」という項目で「知っていた」と回答した人の割合は高く、保護者は77.1%、高校生は54.2%でした。しかし、「『日本学生支援機構』の『貸与型』の奨学金制度には、『無利子貸与』と『有利子貸与』の二種類あること」という項目で「知っていた」と回答した保護者の割合は51.2%、高校生の割合は23.3%でした。さらに「『日本学生支援機構』には、高校3年の時に申し込む『予約採用』があること」という項目で「知っていた」と回答した保護者の割合は39.0%、高校生の割合は15.0%で、具体的な内容まで認知している保護者と高校生の割合は低いことが示されました。

 

貸与型と給付型の奨学金の大まかな内容

貸与型の奨学金には、第一種(無利息)と第二種(利息付)、入学時の一時金として貸与する入学時特別増額貸与奨学金(利息付)があります。第一種は「特に優れた学生及び生徒で経済的理由により著しく修学困難な人」が対象で、学校種別や設置者、入学年度、通学形態によって、定められた2種類の額のうち、いずれかを選択します。第二種は「国内の大学院・大学・短期大学・高等専門学校(4・5年生)・専修学校(専門課程)の学生・生徒」が対象で、第一種より緩やかな基準で選考されます。5種類の貸与月額から貸与額を自由に選択できますが、年3%を上限とする利息がついています(在学中は無利息です)。

 

給付型奨学金は、優秀であるにもかかわらず経済的に修学困難な学生の進学を後押しするために交付される、返還義務のない奨学金です。優れた資質・能力を有し、「住民税非課税世帯」か「社会的養護を必要とする人」のいずれかの条件に該当する人が対象です。給付金額は月額2万円から4万円の範囲内で、通う大学が国公立か私立か、また自宅通学か自宅外通学かで変わります。

 

どのような奨学金があるかを詳しく知っておくと、大学進学の選択肢が広がるでしょう。日本学生支援機構の公式ウェブサイトには、ここで紹介した貸与型と給付型の奨学金の詳しい内容が掲載されています。また、自治体や大学によっては独自の奨学金を設けているので、志望校を選ぶ際に、確認すると良いでしょう。